慶長8年(1603）、徳川家康によって2年がかりで築城された二条城。一夜限りの記念すべきイベントは、お城の正門、東大手門で舞妓さんたちが出迎える「おこしやす」の声で華やかに始まりました。通常非公開の番所では、二の丸庭園の改修を指揮した大名で、茶人の小堀遠州の衣装が展示。琴の生演奏が華やぎを添え、高揚感ある幕開けとなりました。

城内では、桜と日本の伝統文化をテーマにしたデジタルアートを観賞。唐門の幻想的な演出や、壁面いっぱいに投影された桜の花など、歴史空間をデジタルアートが彩ります。中には蝶に手をかざすと和楽器の音とともに光が浮かびがったり、スマートフォンを使ってたんぽぽの綿毛を飛ばすなど、体験型のアートも。名残の夜桜とともに、ゆったり鑑賞する参加者の姿が印象的でした。

通常非公開の清流園の香雲亭では、大正天皇がご即位された際、二条城で催された「大饗」で舞われた「五節舞」を象徴する装束が展示されました。先斗町の芸妓さんが、笛と鼓を即興で競演する「一調一管」。静寂の闇に響く幽玄の調べが、時空を超えて400年前の世界に誘います。「まさに京の雅ね」と熱心に耳を傾ける方、「初めて体験した」と江戸時代のお城の様子に思いを巡らせる方など、非日常な春の夜を楽しまれていました。

再び舞妓さんに迎えられ、二の丸御殿の台所前の庭へ。白壁に投影された円窓に近づくと、障子が開く趣向に、お子様たちも大喜び。声を弾ませ記念撮影を楽しむ姿が、数多く見られました。今回のイベントは、前日まで催されたプロジェクションマッピングに加え、日本の伝統文化の真髄に触れる生演奏や舞妓さんのお出迎えなど、この日だけのおもてなしが体験できるのが特徴。参加者も「貴重な機会でした」と、それぞれに笑顔。心に残る一夜となりました。

当日は、京の味や工芸品が並ぶ「京の名品展」の特設ブースが設けられたほか、イベント限定特別記念品セットとして「二条城入城記念符とオリジナル缶バッチ」の販売が行われました。二条城では、徳川家康による築城以来の文化財本格修理の財源確保のため「一口城主」募金が行われています。貴重な文化財を次代へ保存・継承するためにできることを少しずつ。今後も「アメックス知新の扉™」では、心を豊かにするひとときをお届けしていきます。