【目次】
タイパとはタイムパフォーマンスの略語
コスパ(コストパフォーマンス)との違い
スペパ(スペースパフォーマンス)との違い
タイパ(タイムパフォーマンス)が重視されるようになった背景
IT技術の進化やデジタルコンテンツの普及
Z世代を中心とするデジタルネイティブの出現
ビジネス環境、働き方の変化
タイパ(タイムパフォーマンス)を意識するメリットとデメリット
業務効率化や生産性の向上
ワークライフバランスの向上
Z世代をはじめとする若年層からの支持獲得
タイパ(タイムパフォーマンス)を良くする方法
物事に優先順位をつける
完璧を求めない、目指さない
デジタルツールを活用する
タイパ(タイムパフォーマンス)が良い行動とは?
タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する層の特徴
SNSでの情報収集(タグる、タブる)
ネタバレ消費
Web会議やウェビナーの活用
タスクマネジメント
タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する層にアプローチする際のポイント
スキマ時間を意識する
追体験を意識する
好むチャネルとメディアを意識する
タイパ(タイムパフォーマンス)のまとめ
タイパとはタイムパフォーマンスの略語
タイパとは、タイムパフォーマンス(時間帯効果)の略語で、費やした時間に対して得られる効果を表す造語です。タムパといわれることもあり、効率のいい時間の活用を意味します。短時間で高い効果や満足度を得られた場合は「タイムパフォーマンスが良い(高い)」、長時間を費やしても効果や満足度が低ければ「タイムパフォーマンスが悪い(低い)」と表現します。
コスパ(コストパフォーマンス)との違い
タイムパフォーマンスとよく似た言葉として「コストパフォーマンス」がありますが、これらは費やす対象が異なります。
タイムパフォーマンスは先述したとおり、費やした時間に対して得られる効果を表す言葉で、時間対効果とも呼ばれます。一方でコストパフォーマンスは、かけた費用に対して得られる効果を表す言葉で、費用対効果とも呼ばれるものです。
スペパ(スペースパフォーマンス)との違い
「スペースパフォーマンス」も、タイムパフォーマンスとよく似た言葉として挙げられます。スペースパフォーマンスとは、どれだけ限られた空間を効率的に使えるかを表す言葉で、空間対効果とも呼ばれます。
上記で紹介した3つの言葉は、いずれも効率性を評価する際の指標として使われています。
タイパ(タイムパフォーマンス)が重視されるようになった背景
「タイパ」は、今後辞書に採録されてもおかしくない言葉を選出する「三省堂 辞書を編む人が選ぶ 今年の新語 2022(外部サイトに移動します)」の大賞に選ばれました。時代を反映し、しかもメディアでもよく取り上げられるなど議論の的となったことから、選考会の意見が一致したそうです。主にZ世代(1990年代後半から2012年頃に生まれた世代)を中心にタイパ重視の風潮がありますが、タイムパフォーマンスが重視されるようになった背景を紹介します。
IT技術の進化やデジタルコンテンツの普及
IT技術の進化やスマートフォンの普及によって、世界中で発信された情報が簡単に手元に届くようになりました。例えば、インターネット活用して、特定のキーワードを検索すると、ウェブページや関連動画などが多数表示されます。活字での情報収集が主流だった以前と比較すると、活字よりも映像や音声、特に動画から情報を得ることが多くなりました。動画の情報量は膨大です。動画は情報収集としてだけでなく、映画やドラマ、アニメ、テレビの見逃し配信やスポーツ観戦など娯楽としても、オンライン授業やオンラインセミナーなど教育やビジネスの現場でも活用されています。デジタルツールを持っていれば、どこにいても見ることが可能ですし、サブスクリプションサービスを利用すれば無制限に視聴できるなど、世の中は活字文化から動画文化へ移行しています。
動画を容易に見ることが可能になったと同時に、簡単に動画つくり、投稿や発信することも可能になっているため、世の中には、SNSや動向投稿サイト、ネットニュースなど膨大なコンテンツが存在し、常に増え続けるようになりました。コンテンツが集まるプラットフォームも数多く存在します。限られた時間の中で効率的に見るために、倍速視聴の機能も活用されています。活字文化の時代にも斜め読みや流し読みはありましたが、デジタルになったことで圧倒的にコンテンツの数が増えたことで効率性への意識は高まったといえるでしょう。また、多くの情報を日々入手できるようになったことで、流行りやトレンドも急速に変化するようになったといえるでしょう。
SNSや動向投稿サイト、ネットニュースなど絶えず大量の情報やコンテンツにさらされています。サブスクサービスを利用すれば大量の映画やアニメ、音楽を無制限に視聴できるなど、時代は大きく変化しました。
Z世代を中心とするデジタルネイティブの出現
スマートフォンの普及が急速に進んだこともあり、インターネットやデジタルツールが常に身近にある環境となりました。変化を経験してきた世代と違い、Z世代は生まれた時からそのような環境で育ってきています。日常的にスマートフォンをはじめとするデジタルツールを利用することが当たり前になっており、上手に使いこなしていることから「デジタルネイティブ」とも呼ばれています。デジタルネイティブは、大量の情報やコンテンツを消費し投稿(発信)することに慣れているため、大量の情報の中から必要なもの、有益なものを短時間で取捨選択する力を自然と身に付けています。加えて、複数の情報を同時に処理する能力にも長けています。そのため、複数のデバイスによる同時視聴や、他の作業と並行して映像を見る「ながら見」などといったように、限られた時間で効率的かつ合理的に複数のコンテンツを消費する傾向が強いです。
また、デジタルネイティブの中心といわれているZ世代の流行りやトレンドは急速に変化しています。デジタルネイティブにとって、より早く多くの情報を集めることは重視すべきことになっているといえるでしょう。情報収集にもSNSを活用し、ハッシュタグを使って検索(タグる)、もしくはレコメンド機能の搭載された発見タブから探し(タブる)、直観的かつ視覚的に情報を集めます。
ビジネス環境、働き方の変化
キャリアアップやより良い待遇を求めての転職は珍しくなくなりました。また、コロナ禍を経て価値観が多様化し、リモートワークの活用が浸透したことで、地方や郊外に移住するケースなども増えました。スキルアップやプライベートの充実を図るために、時間を無駄にしない効率的な働き方が意識されるようになったといえるでしょう。
タイパ(タイムパフォーマンス)を意識するメリットとデメリット
タイムパフォーマンスだけに意識を向けると、タイムパフォーマンスを上げることだけが目的となり、本来の目的が達成できなくなる懸念があるでしょう。加えて、過程を軽視し、結果のみを重視するようになる懸念もあります。これらはデメリットといえますが、以下のようなメリットを得られるでしょう。
業務効率化や生産性の向上
タイムパフォーマンスを意識することで効率的に進めるために業務を見直し、改善を図るでしょう。それにより、生産性の向上も期待できます。また、時間の余裕が生まれることでこれまで手がつけられなかったことにも取り組めるようになり、より生産性を高めることができるかもしれません。これは、個人としても企業としてもメリットとなるといえるでしょう。
ワークライフバランスの向上
業務の効率化や生産性の向上は時短勤務や残業の抑制にも寄与します。結果として、ワークライフバランスの向上も期待できます。個人としてのメリットだけでなく、企業にとってのメリットもあります。従業員のワークライフバランスの向上はウェルビーイング経営の実現にも有効です。加えて、人材確保もしやすくなるでしょう。
関連記事:ウェルビーイング経営とは?健康経営との違いやメリットを解説
Z世代をはじめとする若年層からの支持獲得
タイムパフォーマンスを意識することで、タイムパフォーマンスを重視するZ世代からの支持を獲得しやすくなるのも大きなメリットといえます。商品やサービスの開発にも人材確保にも役立つでしょう。
関連記事:英米での調査から見えた「Z世代に魅力的な職場」の条件とは?
タイパ(タイムパフォーマンス)を良くする方法
タイムパフォーマンスを良くするためには、費やす時間を短くし、これまでと同等以上の効果を得ることとが必要です。これらを実現するために意識すべき点を紹介します。
物事に優先順位をつける
一般的に物事は、必ずやるべきこと、やったほうが良いこと、やらなくても問題ないことの3つに大きく分けられます。優先順位をつけて優先度の高いものから取り組んでいくと、最小限の時間で大きな成果を生み出しやすくなるでしょう。
完璧を求めない、目指さない
限られた時間もしくは期限の中で効率よく成果を出すためには、やるべきことを取捨選択することが必須となります。完璧を目指さないことを意識しましょう。
デジタルツールを活用する
タスク管理ツールやプロジェクト管理ツール、顧客管理システム、カレンダーアプリなど管理をサポートするツールや、リモートワークに必要な設備やシステムなどデジタルツールの活用も有効です。タイムパフォーマンスを上げるための投資も検討しましょう。
タイパ(タイムパフォーマンス)が良い行動とは?
「タイパがいい」と言われる行動、タイムパフォーマンスが良い行動にはどういったものがあるのでしょうか。具体例をいくつか紹介します。
動画の倍速視聴やショート動画、切り抜き動画の視聴
完全栄養食や冷凍食品の活用
ネットスーパーや宅配サービスの利用
書籍の要約サービスの利用
AI搭載のチャットサービスの利用
隙間時間の活用(アルバイトやスキルアップ、トレーニングなど)
電動キックボードやシェアサイクルの利用
タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する層の特徴
タイムパフォーマンスを重視する層の特徴を紹介します。
SNSでの情報収集(タグる、タブる)
わからないことをすぐに検索できる時代となってこともあり、特にZ世代には、「わからないことがある場合、考えるよりも先に検索する」ことが、当たり前の習慣となっています。先述した通り、情報収集のために活用するのは、「ググる」といわれる、インターネット検索ではなく、SNSです。「タグる」といわれる、ハッシュタグを使って検索したり、「タブる」といわれる、レコメンド機能の搭載された発見タブから検索をしたりと、直観的かつ視覚的に情報を集めることがタイムパフォーマンスを重視する層の中では主流となっているといえるでしょう。
ネタバレ消費
膨大なコンテンツ、情報に囲まれている時代となったこともあり、コンテンツは「鑑賞する」ものから、「消費する」ものだと捉える人が増えています。「消費する」場合、いかに効率的に、いいもの、つまりアタリを消費できるかが重要となるため、ハズレや失敗を回避しようとする心理的傾向から、ネタバレ消費が好まれるようになっています。映画やドラマのストーリーを知ってから視聴したり、商品の評価などを確認してから購入したり、旅行や外出の際も宿泊施設、観光スポットなどのその地域の評判をSNSなどで確認してから決めることがタイムパフォーマンスを重視する層の中では一般的になっているといえるでしょう。
Web会議やウェビナーの活用
働き方においてタイムパフォーマンスを重視する層は、Web会議やウェビナーを好みます。場所を選ばずに効率よく利用できること、対面で会話するために、もしくはセミナーなどに出席するために移動する時間や交通費が削減できることをメリットだと捉えるのが、タイムパフォーマンスを重視する層の特徴だといえるでしょう。
タスクマネジメント
無駄を省くために必要不可欠となるのは、タスクの進捗状況の管理です。仕事はもちろん、プライベートで楽しむゲームなどにおいても、Z世代を中心とするタイムパフォーマンスを重視する層はタスクマネジメントを強く意識します。業務や作業をカテゴリ別に分け、期限と優先度を設定し、使えるリソースは有効活用して処理速度を上げることを目指すことは、タイムパフォーマンスを重視する層にとっては当たり前の作業となっているといえるでしょう。
タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する層にアプローチする際のポイント
今後、メインとなる消費者は、タイムパフォーマンスを重視する層の中心であるZ世代です。享受できるコンテンツが増えていく環境で育ったZ世代は、自身がやりたいことに時間を割くために、面倒なことや興味のないことに費やす時間をできる限り減らします。このようにタイムパフォーマンスを良くすることが習慣となっている層に対して、効果的にアプローチするために注意すべきことを紹介します。
スキマ時間を意識する
スキマ時間を有効活用できるサービスや商品はタイムパフォーマンス向上につながりやすいため、興味を引きやすいでしょう。Z世代にとってスキマ時間とは、イベントがない時間すべてを指すといわれています。イベントがない、と認識されていることを意識して考えてみましょう。
追体験を意識する
これまでは、「未体験」を楽しむことが求められる傾向がありましたが、Z世代の特徴でもある、ネタバレからもわかるように、誰かが一度体験したことがあるもの、事前に想定していた成り行き通りに楽しめる「追体験」を求める傾向に変わっています。追体験に価値を感じることを意識したアプローチ方法を検討することが重要でしょう。
好むチャネルとメディアを意識する
Z世代の利用率が高いSNSで、好む傾向にあるショート動画を活用することは、有効な手段です。利用率の高さや好まれる傾向を認識したうえで、チャネルやメディアを選択することが大切だといえるでしょう。
タイパ(タイムパフォーマンス)のまとめ
以下に、タイムパフォーマンスについての要点をまとめます。
・タイパ(タイムパフォーマンス)とは費やした時間に対して得られる効果を表す造語で、Z世代中心に重視される。
・タイムパフォーマンスを意識しすぎるとタイムパフォーマンス自体が目的になるおそれがあるものの、業務効率化や生産性の向上、ワークライフバランスの向上、Z世代をはじめとする若年層からの支持獲得といったメリットもある。
・Z世代へアプローチする際は、スキマ時間や追体験、好むチャネルなどを意識したコンテンツを作成する。
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