【目次】
シナジーとはプラスの相乗効果
ビジネスシーンにおけるシナジーの種類
シナジー創出による効果やメリット
シナジーの創出方法
シナジーのまとめ
シナジーとはプラスの相乗効果
シナジー(Synergy)という言葉は生理学や薬学の分野で主に用いられますが、2つ以上の要素がお互いに作用し合い、単体で得られる以上のプラスの効果を生むことを指します。日本語に訳すと「相乗効果」となり、共同で行う、または協力し合うことで1+1が2以上の効果を生むような場合に使われます。
ビジネスにおいてのシナジーとは、異なる専門知識やリソースを持つ者同士、部署、組織、企業が協力し事業活動に取り組むことで、それぞれが単独で活動するよりも大きな成果が生まれ、双方にとって有益な「Win-Win」の関係となる状態を指し、このような状況で生まれた効果をシナジー効果(Synergy Effect)と呼びます。
シナジーの対義語は「アナジー」
アナジー(Anergy)とは、アネルギーとも呼ばれ、抗原に対する抗体反応が起こらない免疫不応答という意味で用いられる医学用語で、無反応や不活性の状態を示す言葉です。ビジネスにおいては相互マイナス効果を意味します。アナジーは、シナジーの対義語になります。2つ以上のものを統合することで相乗効果を狙った際に、ポジティブな結果を生んだ場合には「シナジー効果があった」、ポジティブな結果が生まれなかった場合には「アナジー効果があった」などと表現されます。アナジー効果を、「マイナスシナジー」「ネガティブシナジー」「ディスシナジー」「負のシナジー」などと呼ぶこともあります。
ビジネスシーンにおけるシナジーの種類
ビジネスシーンにおける主なシナジーの種類を紹介します。
組織シナジー
組織シナジーとは、異なる複数の組織を統合することで生まれるシナジー効果を指します。それぞれの強みを組み合わせることで、新しいビジネスモデルやアイデアの創出が期待できるので、生産性の向上や、業務効率化の実現につながります。また、組織間の交流促進により職場環境の改善も期待できるので、従業員のモチベーション向上や定着率の改善、イノベーションの創出につながる可能性もあるでしょう。
事業シナジー
事業シナジーとは、事業間の経営資源などの共用や活動のつながりによる収益向上など、事業の推進に直接的に関わるシナジー効果を指します。売上増加、人事面の活性化、コスト削減、生産の効率化によるスケールメリット拡大、ノウハウの統合による付加価値向上などが期待できるでしょう。
財務シナジー
財務シナジーとは、事業の統合や合併によって生じる財務的、税務的な利益を指します。合併などで増加した余剰資金の有効活用が可能になることや、繰越欠損金の控除や債務の引継ぎ、グループ法人税制により、それぞれが独立して事業をする場合よりも、節税効果が期待できるでしょう。
シナジー創出による効果やメリット
シナジーが創出できると、さまざまなメリットを享受できるようになります。
優秀な人材を確保しやすくなる
複数の組織や企業が連携することで、優秀な人材を確保しやすくなる可能性があります。タレントプールが広がると、より多様な人材と接点を持つ機会が増加するためです。採用活動がより戦略的かつ包括的に行えるようになり、特定の専門分野やスキルを求める場合でも、適切な人材を探しやすくなるでしょう。
組織マネジメントを強化できる
複数の組織や企業が協力することによって、それぞれが培ってきた経験や専門知識を共有することで組織が最適化され、組織力を高められるでしょう。課題や問題の早期解決や、イノベーションの創出も期待できます。
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コストが削減できる
複数の組織や企業が提携することで、各事業において重複している部門や投資先、サプライヤーの統合や見直し、リソースの共有が可能となります。効率化が図れるため、コストの削減につながるでしょう。
販路や市場を拡大できる
異なる組織や企業が提携することで、新たな市場や業種、地域との接点ができる可能性もあるでしょう。販路の拡大や、市場の開拓も期待できます。
生産性および競争力を向上できる
複数の組織や企業が連携し、リソースを共有することで、それぞれの知見や技術が組み合わさることによる生産力の向上が期待できるだけでなく、リソースの有効活用による生産性の向上も期待できるでしょう。また、結果として、競争力の強化も見込めるでしょう。
シナジーの創出方法
どういったシナジーを期待するのか、目的に応じて、シナジーを創出する方法を選びましょう。代表的な手法を紹介します。
M&A
M&Aとは、Mergers(合併) and Acquisitions(買収)の略で、2つ以上の企業を一つの企業に統合する「合併」または、ある企業が他の企業を買う「買収」を指します。M&Aの目的は譲渡側と譲受側で異なり、主に以下の手法があります。
・水平型:同じ業種、業態の企業同士で行われるM&A
・垂直型:同業種の異なる製造段階、川上と川下の企業間で行うM&A
・コングロマリット型:既存事業と関連のない新規事業への参入を目的とし、異業種の企業間で行うM&A
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業務提携
業務提携とは、異なる商品やサービス、技術を持つ企業間で協力し合い、事業の効率化をはかる方法です。各企業は自社の弱みを補強するとともに、他社の強みを活用できます。M&Aとは異なり、経営権の譲渡は生じません。
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多角化戦略
多角化戦略とは、保有している経営資源の活用や応用によって、新たな事業分野に進出し、収益源を多様化するための成長戦略です。多角化戦略は以下4つに分類されます。
・水平型多角化:保有する既存の技術を活かして、既存事業と関連性の高い分野で既存顧客と類似性の高い層に対して新しい製品やサービスを提供する戦略
・垂直型多角化型:新たな技術を獲得して、すでに参入している市場の上流や下流の事業にも新規進出する戦略
・集中型多角化:既に保有している技術やスキル、販路などを活用し、既存事業とはあまり関連のない新しい市場に参入する戦略
・集成型(コングロマリット型)多角化:自社でこれまで蓄積してきた技術や販売チャネルとは全く異なる、新たな市場領域に進出する戦略
グループ一体経営
グループ一体型経営とは、組織内の横断的な連携や協力を強化することで、グループ企業内でノウハウや情報などを共有し、事業活動の効率化や異なる事業や部門の相乗効果を最大化する手法です。
シナジーのまとめ
シナジーについての要点を以下にまとめます。
・シナジーとは、2つ以上の要素がお互いに作用し合い、単体で得られる以上のプラスの効果を生むこと
・ビジネスシーンでは、組織シナジー、事業シナジー、財務シナジーという3つのシナジーがある
・シナジー創出によって「優秀な人材を確保しやすくなる」「組織マネジメントを強化できる」「コストが削減できる」「販路や市場を拡大できる」「生産性および競争力を向上できる」という効果やメリットが期待できる
・シナジーの創出方法には、M&Aや業務提携、多角化戦略、グループ一体経営などが挙げられる
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