【目次】
シンギュラリティ(技術的特異点)とは
シンギュラリティはいつ起こる?2045年問題とは?
シンギュラリティが到来すると考えられる根拠
ムーアの法則
収穫加速の法則
シンギュラリティが到来するとどうなる?3つの影響
雇用の減少
ベーシックインカムの導入
医療技術の進歩
シンギュラリティに対する否定的な見解
シンギュラリティの前に「プレ・シンギュラリティ」が来る可能性も
シンギュラリティについてのまとめ
シンギュラリティ(技術的特異点)とは
シンギュラリティ(Singularity)とは、日本語に訳すと「技術的特異点」となり、人工知能(AI)が自己改良を繰り返し、人間の知性を超える転換点を指します。現状、まだこの転換点を迎えていないので、シンギュラリティは仮説として多くの研究者により論じられています。
AIには、大きく分けて汎用型AIと特化型AIがあります。このうち、シンギュラリティをもたらすと考えられているのは、主に汎用型AIです。
汎用型AIとは、GAI(Growing Artificial Intelligence)とも呼ばれますが、日本語では「汎用型人工知能」で、複数の領域にわたった問題の解決が可能な人工知能のことを指します。
イメージとしてはフィクションとして映画や漫画、アニメの世界で描かれてきた意思を持つロボットになりますが、まだ人間と同等かそれ以上の汎用的な知能をもつAIを搭載したロボットの実例はありません。
汎用型はAIが自律的に思考、判断をし、実行ができるため、自己フィードバックによる改良をAIが繰り返すことで、いずれ人間を上回る知性をAIが持つであろうと考えられています。人間が介在することなく 、AIが自身でAI の開発を進めるようになるとも言われています。
一方、特化型AIとは、AGI(Artificial General Intelligence)とも呼ばれ、日本語では「特化型人工知能」です。AGIはある領域において特化した能力をもつ人工知能のことで、社会やビジネスなどで広く利用されています。例としては、音声認識や画像認識、自動運転、医療診断などが挙げられます。
シンギュラリティはいつ起こる?2045年問題とは?
研究者によって見解はわかれていますが、最も知られているのが、2005年に著書『The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology』の中で発明家、実業家、未来学者であり、人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイル氏が予測した2045年です。そのため、シンギュラリティは「2045年問題」と呼ばれることもあります。
シンギュラリティ到来に関する賛否両論
現時点では、シンギュラリティはあくまで仮説です。2045年説だけでなく、2012年のシンギュラリティ・サミットでは、スチュアート・アームストロング氏が2040年到来説を提唱するなど、研究者によっても時期の見解は分かれていますし、人工知能の権威であるスタンフォード大学教授のジェリー・カプラン氏のようにシンギュラリティが起こらないと提唱する研究者もいます。現時点では、AIが独自の目標や欲求などの自我をもつことは科学的に証明されていないためです。
また、仮にシンギュラリティが到来した場合、AIが暴走してしまう懸念であったり、AIの人権を認めるのか否か、AIが事故を起こした場合の責任の所在はどこになるのかといった議論など、解決すべき課題は多岐にわたるでしょう。
シンギュラリティ到来の根拠と言われている2つの法則
2045年にシンギュラリティが到来すると予測されているのはなぜなのでしょうか。根拠だと言われているのが、「ムーアの法則」と「収穫加速の法則」です。
ムーアの法則
ムーアの法則とは、インテル社の共同創業者の一人であり、アメリカの物理学者でもあるゴードン・ムーア氏が、1965年に『Electronics』誌で発表した経験則です。コンピューターの頭脳にあたる「半導体回路の集積密度は1年半~2年の周期で2倍となる」という法則があるので、このペースで性能が進化すると、2045年ごろには人間の知性を超える処理能力となってもおかしくないと考えられます。です。
収穫加速の法則
収穫加速の法則とは、前述した人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイル氏が提唱した「技術革新は直線的ではなく指数関数的に起こる」という法則です。新しく発明された技術が次の発明までの期間を短縮させることで、イノベーションが加速し、イノベーションが加速した先にシンギュラリティの到来があると主張しています。
シンギュラリティが到来するとどうなる?予測される影響とは
もしシンギュラリティが到来した場合、さまざまな変化が起こるでしょう。現在予想されている影響を3つ紹介します。
雇用の変化
シンギュラリティが到来すると、これまで人間が担ってきた業務はAIが代替できるようになるため、無人化や省力化が進むでしょう。いわば、「AIが人間の仕事を奪う」状態が起こり得ると考えられています。
例えば、すでにAIが活用されている、コンビニエンスストアやスーパーマーケットのセルフレジ導入や、完全自動運転に向けて開発が進んでいる、電車や自動車の自動運転などによる一時的な雇用喪失です。
しかし、AIによって無人化や省力化できる業務がある一方で、AIに代替できない業務も、AIと協働するための業務もあります。また、AIの導入によって新しい市場が開拓され、新市場では雇用が創出されることも予想されています。
一部の業務、職種に関しては雇用が減少するものの、新たな業務や業種の雇用が創出されることが想定されているので、雇用者数だけでなく、雇用形態や雇用条件など「雇用」に関する様々なことに更なる変化が生じる可能性があるでしょう。
ベーシックインカムの導入
AIが担える業務が幅広くなればなるほど、人間が担う業務は少なくなるため、労働時間も少なくなっていくでしょう。
その場合には、社会制度にも変化が出るだろうと予想されています。導入される可能性があると考えられているのが、政府により国民が生活できる最小限の所得が支給される制度である「ベーシックインカム」です。
財源確保の問題など実現に向けての課題は多いですが、経済格差の解消やライフスタイルの多様化の実現が期待できるのではないかと考えられています。
医療技術の進歩
シンギュラリティの到来は、医療にもより大きな進歩をもたらす可能性があるでしょう。身体機能の一部を人工物に置き換えることや、意識をデータ化することも実現できるかもしれません。
実際に、身体にマイクロチップを埋め込む技術や、AI技術を制御に活用した筋電義手(筋肉を動かす際に発生する微弱な電位(筋電位)を使って動作制御する電動義手)などが実用化されています。医療技術の進歩により、健康寿命の延伸が期待できると考えられています。
シンギュラリティに先立って起こる、「プレ・シンギュラリティ」とは
プレ・シンギュラリティとは、スーパーコンピューター開発者・次世代の汎用人工知能の研究者である齊藤元章氏が唱える「社会的特異点」で、「技術的特異点」であるシンギュラリティの到来前に起こると予測されている大きな社会変動が起こる過渡期を指します。科学や技術の発展が加速し、生活や社会が従来の枠を超えて変化を始める時期だとされており、2045年にシンギュラリティが到来する場合、プレシンギュラリティは2030年ごろ到来すると予測されています。
プレ・シンギュラリティの時期は技術進化が加速し、生活も変化すると考えられています。様々なテクノロジーが生まれることで、新たな倫理的問題も生ずることもあるともいわれています。プレ・シンギュラリティで起こると予想されている社会変化の例をいくつか紹介します。
• 貨幣がなくなる(生活必需品は無料で得られるようになる)
• 発電効率の改善や新エネルギーの開発によりエネルギー問題が解決する(無償で提供されるようになる)
• 働く必要がなくなる(価値が変化する)仮想現実世界での生活が中心になる など
シンギュラリティについてのまとめ
以下に、シンギュラリティについての要点をまとめます。
・シンギュラリティ(技術的特異点)は、人工知能(AI)が自己改良を繰り返し、人間の知性を超える転換点を指す
・現時点では、シンギュラリティはあくまで仮説であり、「2045年問題」と呼ばれる2045年到来説や、2040年到来説のほか、到来自体を否定する説など、研究者によって見解は分かれている
・シンギュラリティ到来による変化として、雇用の変化、ベーシックインカムの導入、医療技術の進歩などが予想されている
(免責事項) 当社(当社の関連会社を含みます)は、本サイトの内容に関し、いかなる保証もするものではありません。 本サイトの情報は一般的な情報提供のみを目的としており、当社(当社の関連会社を含みます)による法的または財務的な助言を目的としたものではありません。実際のご判断・手続きにあたっては、本サイトの情報のみに依拠せず、ご自身の適切な専門家にご自身の状況に合わせて具体的な助言を受けてください。