【目次】
マネジメントとは
マネジメントが必要な理由
マネジメントとリーダーシップの違い
マネジメントの主要な業務内容4つを具体的に解説
マネジメントに求められる4つのスキル
階層ごとのマネジメントの違い
マネジメントにおける課題と対応策3例
マネジメントのまとめ
マネジメントとは
マネジメントとは、広義には管理や経営を指す言葉ですが、ビジネスにおいては、会社が求める成果や目標の達成に向けて、効果的かつ効率的に経営資源を活用し、組織として業務を遂行する仕組みを指します。
経済学者ピーター・ドラッカーは、マネジメントの概念について「組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関」と定義しています。
マネジメントが必要な理由
企業の目標達成や持続的な発展において、適切なマネジメントが重要な要素となるのはなぜでしょうか。マネジメントは組織全体を総合的に俯瞰し、経営資源を最大限効率的に活用しながら、目標を達成するための戦略的な組織運営を可能にするからです。
ドラッカーが分類した、マネジメントの役割は次の3つです。
1. 組織が果たすべきミッションを達成する
2. 組織で働く人たちを活かす
3. 社会に貢献する
組織としてのミッションを達成することは、社会のニーズに応え、社会に貢献することにもつながります。このような側面からも、マネジメントは重要な機能といえるのです。
マネジメントとリーダーシップの違い
マネジメントとリーダーシップは同義で使われがちですが、組織内で果たす責任と役割は明確に異なります。
マネジメントは組織の目標やミッションを達成するために必要な組織運営をすることです。企業の資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」をどのように活用して成果を上げていくか、総合的かつ具体的な計画と行動をともなうのがマネジメントです。
一方で、リーダーシップは組織が進むべき方向性や目標を指し示すことです。リーダーには、組織メンバーに影響を与え、共感を呼び起こし、組織全体を一つのチームとしてまとめ上げる能力が求められます。
先述したヒト・モノ・カネ・情報でいうと、ヒトを対象として発揮されるべき役割といえます。マネジメントとリーダーシップは異なる概念ですが、効果的な組織運営には両方が求められるでしょう。
マネジメントの主要な業務内容4つを具体的に解説
マネジメントの主な業務内容として、「目標の設定」「組織化」「モチベーションの維持」「評価・人材育成」の4つが挙げられます。それぞれについて具体的に説明します。
目標の設定
マネジメントの最初のステップは、組織や部門の目標やゴールを具体的に設定し、明確に示すことです。組織の方針や市場の動向を考慮し、具体的で達成可能な目標を設定します。これは、組織が進むべき方向を示すとともに、成果を評価する基準となります。
次に、目標を実現するために何をするべきかを策定します。適切な戦略を用意することで、目標に向けて組織全体が一丸となり、スムーズな業務遂行が可能となります。
また、目標の周知と理解を促し、一人ひとりに浸透させることも重要な役割です。メンバーが理解しやすい形で目標を提示し、各自の仕事が目標達成にどのように寄与するかを理解させることで、組織全体が目標を意識して行動することができるでしょう。
組織化
組織化とは、仕事の取り組み方や進め方などを再考し、効率的・効果的な組織にすることをいいます。組織化のためにまず行なうべきステップは、目標達成のために必要な活動や意思決定などの分析と、その分析によって明らかになった業務の分類です。
これにより、各業務の重要性や優先順位が明確になり、資源の最適な配置が可能となります。
次のステップでは、各業務を担当する組織作りと人材配置を行ないます。人材の振り分けに関しては、特性や能力を考慮し、各人が得意な分野で最大限のパフォーマンスを発揮できるような配置が重要です。
モチベーションの維持
組織内の人材のモチベーション維持・向上も、マネジメント業務の一つです。各自が高いモチベーションを持って取り組むことによってパフォーマンスが上がり、組織全体の生産性向上につながるからです。
モチベーションを保つには、適切な業務の割り振りや納得できる評価・報酬などに加え、動機付けとなるような環境づくりも欠かせません。
例えば、挑戦的なプロジェクトや成長の機会、自己成長を感じられる環境などは、モチベーションを高める要因になるでしょう。
また、高いモチベーションを保つには組織内のコミュニケーションが重要です。上司と部下のコミュニケーションはもちろん、チームメンバー同士の円滑な意見交換など、組織内での双方向のコミュニケーションを促しましょう。
これにより、自分で考え行動できるような環境づくりや、意欲的に働けるような雰囲気を築くことにつながります。
評価・人材育成
人材を育成することで、組織の力は向上します。これは、スキルや経験の向上だけでなく、個々がより意欲的に働くきっかけともなります。
人材育成の際は、個別の育成計画やトレーニングプログラムなどを通じて、一人ひとりの能力や強みを引き出す方法で育成することがポイントです。
また、人材育成には適切な評価が欠かせません。評価するための明確な基準を設け、具体的な評価やフィードバックを行ないましょう。さらに、評価を通じてキャリア開発や目標に対するサポートを行なうことも重要です。
人材育成の際には業務上のスキル指導だけでなく、個々の精神的なサポートにも焦点を当てましょう。
例えば、結果やプロセス、仕事の姿勢、行動などを承認されると、成長を実感でき、前向きな気持ちで目標へと向かえるようになります。自分が理解されている、認識されていると感じることで個々の意欲が高まり、組織全体の生産性アップにつながることが期待できます。
コミュニケーションを通じて、課題に対するサポートを提供し、働く環境が健康で持続可能なものであるように努めましょう。
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マネジメントに求められる4つのスキル
マネジメント業務を遂行するためには、いくつかのスキルを必要とします。以下では、マネジメント業務を行なううえで必要とされる4つのスキルを紹介します。
意思決定のスキル
重要な局面での判断や決断をする、意思決定のスキルは極めて重要です。
すべてのメンバーの賛同を得られない場面でも、組織の方針や状況を加味して最善と思われる選択をするのがマネジメントの責務といえます。
異なる意見や対立する見解があるなかでも、客観的な判断材料を踏まえた意思決定を行なわなければなりません。意思決定に矛盾やブレが見られるとマネジメント層への信頼度が下がり、組織の統率を欠く結果にもつながるため注意が必要です。
コミュニケーションスキル
メンバーが同じ目標に向かって協力して仕事を進めるためには、認識を一つにする必要があります。そのために不可欠なのは、意思の疎通です。明確で効果的なコミュニケーションによって、各メンバーの期待や役割が理解され、協力体制が築かれます。
一方的な働きかけではなく、相手の意見に傾聴し、双方向のコミュニケーションを図ることが重要です。相手の意見や提案を注意深く受け止め、尊重することは、相手との信頼関係を築くことにもつながります。
また、現代の働き方においては、リモートワークも珍しくなくなっています。そのため、遠隔でも効果的なコミュニケーションを図れるスキルや環境の整備(チャットツール、ナレッジ共有ツール、オンライン会議ツールなど)も重要といえるでしょう。
管理スキル
仕事で成果を上げるためには、さまざまな管理スキルが必要となります。そのなかでも重要なのが、以下の3つの管理スキルです。
・目標達成に向けて、組織を適切に機能させるスキル
・生産性を高めるために、適切な事柄を適切に実施するスキル
・仕事の基準を高め、組織が成す仕事の精度を上げていくスキル
なお、これらの管理を正しく実施するためには、フィードバックを含めた評価測定が重要です。メンバーの強みや課題を把握し、成長の機会を提供することは、組織全体のパフォーマンス向上につながります。
分析スキル
勘や経験に頼るのではなく、客観的な視点から検証し、その結果に基づいて行動を起こすためには、ビジネスを取り巻くさまざまな要素を分析するスキルが必要です。
「ヒト・モノ・カネ・情報」の4大経営資源はもちろん、現在までに蓄積されてきた知識や知恵、技術資産、リスクなども含めた分析・管理が求められます。
現代のビジネス環境は日々変化しており、市場の動向や競合状況などに敏感に対応する必要があります。継続的な分析は、変化に対して迅速で正確なアクションを可能にする意味でも重要でしょう。
階層ごとのマネジメントの違い
マネジメントは複数の階層で構成されており、それぞれの階層によって役割が異なります。ここでは、階層ごとのマネジメントの違いを説明します。
トップマネジメント
トップマネジメントとは、組織の最高経営者層を指し、会長や社長、取締役会、執行役員などが含まれます。トップマネジメントは組織全体の方針や戦略を策定し、経営に関する意思決定を行なうとともに、最終的な責任も担います。
最高経営層であるトップマネジメントは、目標達成の根幹にかかわる階層であり、強力なリーダーシップが必要です。
ミドルマネジメント
ミドルマネジメントは、組織の中間管理者に該当する層で、具体的には支店長や本部長、部長、課長などが該当します。経営に関する意思決定を行なう「トップマネジメント」と、現場の管理を行なう「ローアーマネジメント」の中間に位置します。
ミドルマネジメントは、経営に関する意思決定をトップマネジメントから受け取り、それをもとに現場の管理へとつなげる橋渡しの役割を担います。一方で、ローアーマネジメントからの情報を吸い上げて組織運営に活かしていくことも求められます。
経営方針を理解すると同時に現場の実情を把握する必要があり、組織が大型化するほど、その重要性が増す傾向にあります。
ローアーマネジメント
ローアーマネジメントは、組織のなかで実際に現場の業務遂行をサポートし、監督する層です。この層は監督者層とも呼ばれ、具体的には係長、主任、現場リーダーなどが該当します。
ローアーマネジメントは、上位層の示す経営戦略や運営方針を理解し、それを現場の業務に具体的に反映させることで、組織の目標やビジョン、ミッションの実現を目指す役割を担います。
マネジメントにおける課題と対応策3例
組織の目標達成・成功のためには、マネジメント上の課題に対応することが重要です。以下では、マネジメントの課題とその対応策について3つ紹介します。
例1.プレ・マネジメント経験の希薄化
1990年代後半以降、組織のフラット化や景気停滞により企業は採用抑制を進め、多くの組織は不均衡な人員構成となりました。
シニア層が多く若い世代が少ない組織では、指導対象となる社員の不在などの状況が生まれ、その結果、擬似的なマネジメント経験を積む機会が限られ、早い段階でマネジメントの基礎を身に付けられないケースが増加しています。
マネジメントの基礎を理解することは、将来のマネジメントの質を向上させるうえで重要といえます。経験が浅い従業員などに対しても、早い段階で基本的なマネジメントの考え方やスキルを教育する機会を提供するとよいでしょう。
また、マネジメントの基本を組織内で継続的に浸透させることも有効です。例えば、定期的な研修を導入するなどして、メンバーの成長過程にマネジメントスキル向上の機会を設けるとともに、知識をアップデートできる仕組みづくりを検討するのもよいでしょう。
例2.多様化する人材への対応
状況変化が加速し、グローバル化や雇用形態の変化などにより、組織内の人材も多様化するなかで、マネジメントの難易度は増しています。
状況変化に対応しながら異なる背景や価値観を持つメンバーが協力して仕事を進めるためには、メンバーの特徴を意識的に把握し、これまで以上に個々に合わせて対応することが求められるからです。
状況に応じたマネジメントをするうえでは、柔軟性を持った計画策定力や強いリーダーシップで人材を束ねていく能力など、職場運営に関するスキルを身に付けておくことが効果的です。
例3.業務上の課題への対応力
問題や課題が生じた際、直面した問題自体が小さなものであっても、適切なタイミングで解決できる能力がなければ、後々大きな問題に発展する可能性もあるでしょう。
まず重要なのは、業務の全体像や課題を正しく理解し、把握することです。トラブルが発生した原因をきちんと究明することが、問題解決への一歩となります。
単独での対処にこだわらず、関係部署やメンバーと連携し、コミュニケーションを図りながら、集団の知恵や経験を活かして問題に取り組みましょう。
まとめ
以下にマネジメントについて要点をまとめます。
・ビジネスにおけるマネジメントとは、会社が求める成果・目標の達成に向けて、効果的かつ効率的に経営資源を活用し、組織として業務を遂行する仕組み
・マネジメントの役割は「組織のミッションを達成する」「組織に所属する人材を活かす」「社会に貢献する」の3つ
・マネジメントの主な業務内容は「目標の設定」「組織化」「モチベーションの維持」「評価・人材育成」の4つでマネジメントには「意思決定」「コミュニケーション」「管理」「分析」の4つのスキルが必要
・組織の目標達成・成功のためには、継続的にマネジメントを学ぶ仕組みを作り、マネジメント上の課題に対応することが大切
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