リーダーに求められるスキルセットとは
経済の不安定化、気候変動、そして急速に進展するテクノロジーの影響──VUCAの時代と呼ばれる現代社会のなかで、多くの社会課題が浮き彫りになり、新たなリーダーシップが求められる時代に突入しています。
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アメリカン・エキスプレス財団は2007年にリーダーシップ・アカデミーを設立しました。設立以来、社会課題に取り組む16万5,000人以上のリーダーを支援しています。
リーダーシップ・アカデミーの基盤となっているのが、アメリカン・エキスプレスが掲げる「Leadership Behavior(リーダーシップ行動)」です。アメリカン・エキスプレスには8つの基本理念(Blue Box Value)と基本理念を遂行するための行動規範「リーダーシップ・モデル」が定められています。アメリカン・エキスプレスでは、このリーダーシップ・モデルを従業員が身につけるためのトレーニング・プログラムを行っていますが、リーダーシップ・アカデミーでは非営利セクターのリーダーが直面する課題に対応できるようになるためのスキルセットを提示し、彼らが組織の影響力を高め、持続可能な社会的インパクトを生み出すための具体的な力を養うプログラムを行います。
リーダーに求められるスキルセット
- パーソナル・ブランドの構築法
- 成長マインドセットの構築法
- アクティブ・リスニングのテクニック
- 自分の目的を見つける/知るためのテクニック
- アイデアを行動に移すためのプロセス
- 不確実な時代に自分をよりよく保つレジリエンス
現在のリーダーシップ・アカデミーのプログラムは、オンラインと対面式を組み合わせた、専門家によるワークショップやコーチング・セッション、そしてネットワーキングやディスカッションを含む半年間のプログラムです。
リーダーたちは、半年間、自身の弱点や強みを理解し、他者と協働しながら新たな視点を得ていきます。リーダーシップスキルを高めるだけでなく、困難な状況に対処するためのレジリエンスを養い、持続可能な社会貢献をするために必要な実践的な知識も習得いただくことが目的です。加えて、グローバルな視野を持ち、世界中のリーダーとつながることができれば、共通の課題に対する新たな解決策を模索できる機会にもなります。オンライン化によってさらに多くのリーダーが参加可能となっている中、地域を超えたリーダー同士の連携がさらに強化されていくことを期待しています。
リーダーシップ・アカデミー修了生の97%が「リーダーとしての役割の自信を持つことができた」と、83%が「イノベーション能力を高められた」、と回答(外部サイトに移動します)してくださっています。何よりも力強いのは、94%の修了生が、「非営利セクターにおける重要な問題を解決するべく、より深くコミットするようになった」答えてくださっていることです。
リーダー育成を通してコミュニティの支援を
リーダーシップ・アカデミーはアメリカン・エキスプレスの理念である「Backing Community(コミュニティを支援する)」に基づき設計されています。地域社会から持続可能な変革を生み出せるリーダーを非営利団体やNGOなどを含む幅広い分野で生み出すことが、コミュニティの支援につながるのだとアメリカン・エキスプレスは信じています。
日本では、2008年から2019年にかけて公益社団法人フィランソロピー協会と、2020年から2021年にかけてはAVPN( 33の国と地域から、フィランソロピーやインパクト投資に関わる600を超える資金提供者で構成されるアジア最大のネットワーク)と共にリーダーシップ・アカデミーを開催しました。また、日本独自の取り組みとしては、2011年から2019年にかけて、NPO法人ETIC.と共に、「付加価値の高いサービスを作る」ことをテーマにその具体例や実践方法を学ぶ二泊三日の宿泊型研修「アメリカン・エキスプレス・サービス・アカデミー」を実施。この研修には延べ700名以上の起業家に参加していただき、IT系ソーシャルベンチャー・代表からは「講師の方のレベルが非常に高く、たくさんの気づきを得ることができました。このプログラムへの恩返しは、事業を成功させることだと思います。」といったお声や、観光系スタートアップ・共同代表からは、「笑いあり、涙ありの濃い3日間だった。わざわざ来てよかったと思える3日間だった。」、また介護ケア系NPO・事業リーダーの方からは「日常ではありえない環境、人間関係、時間の使い方で、自身の事業について考えることができた!」などの声をいただきました。
2021年までは日本独自で開催していましたが、2023年からのリーダーシップ・アカデミーは、世界規模での開催となり、ヨーロッパ、アジア太平洋、アメリカのリーダーたちが、それぞれロンドン、シンガポール(2023年)・シドニー(2024年)、ニューヨークに集い、350名以上がアカデミーを修了しています。2024年のリーダーシップ・アカデミーには、日本からは、NPO法人シングルマザーズシスターフッド 吉岡マコ様、認定NPO法人ReBit 藥師実芳様、NPO法人 WELgee 山本菜奈様、国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン支援事業第1部部長 望月亮一郎様の4名に参加いただきました。
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2024年は、ストーリーテリングを活用して影響力を拡大するためのスキルを身につけることに重点が置かれたカリキュラムになっています。ストーリーテリングは、非営利団体が社会的課題を解決するために重要となるスキルの1つだといえるからです。
また、過去に参加したリーダーシップ・アカデミーのアルムナイは、プログラム修了後も強力なネットワークを築いています。各地域のリーダーたちが互いにサポートし合い、それぞれのコミュニティでは各々の可能性を発揮し、コミュニティの問題解決をしていく──そんな好循環を、アメリカン・エキスプレスはこれからもサポートしていきます。