日本におけるアメリカン・エキスプレスの歴史は1917年横浜でスタート
アメリカン・エキスプレス初の日本拠点である横浜事務所
日本事務所の設立当初は、太平洋を渡り、日本を訪れる米国人へのサービスとサポートが目的でした。言葉もわからず、習慣も制度も異なる異国の地に降り立つ際に抱く不安は、いつの時代も変わりません。スマートフォンなどもまだ存在しなかった100年以上も前に来日するということ自体、今を生きる私たちの想像をはるかに上回るものだったでしょう。渡航者のなかには、新たなビジネスの可能性を探しに来日した方もいたはずです。期待と不安が入り混じるなか、安心して日本滞在を充実させることができるよう、アメリカン・エキスプレスは日本でのトラベラーズチェック(「アメリカン・エキスプレス・トラベラーズ・チェック」の販売は終了)の取り扱いを開始しました。現在では主流になりつつあるキャッシュレス決済の萌芽が、日本に上陸した瞬間でもあります。
戦争の影響を受け、1941年には日本から一時撤退を余儀なくされましたが、戦火が止んだ1954年、改めて東京に日本支社を設立。以降、日本の高度成長と歩調を合わせ、時代の変化を捉えながら、ビジネスオーナーたちとともに成長を続けるために、アメリカン・エキスプレスもピボットを繰り返しています。
トラベラーズチェックで海外への挑戦に「安心」を
日本において最初のピボットといえるのは1974年、円貨建てトラベラーズチェックを発行した際でしょう。
アメリカン・エキスプレスが世界初のトラベラーズチェックの発行をスタートさせたのは1891年のことです。当時の社長が、旅先のヨーロッパで米国の大手銀行が発行した小切手ですら簡単に使えないという状況に遭遇した経験から、海外渡航者向けに世界に先駆けて発行したことが始まりでした。
日本では、1964年の東京オリンピックを機に海外渡航が自由化されましたが、そこで問題点として浮かび上がっていたのが「現金に代わる安全な決済手段がないこと」でした。1973年、初めて日本の年間出国者が200万人を突破したことをうけ、海外旅行を楽しまれる場合はもちろん、商談のために渡航する日本人海外渡航者に安心を提供するために、円貨建てトラベラーズチェックを発行しました。
世界で初めて発行された当時のアメリカン・エキスプレスのトラベラーズチェック
1958年に米国とカナダでアメリカン・エキスプレス®・カードを発行してから22年後の1980年、日本で最初のカードとして、「アメリカン・エキスプレス®・ゴールド・カード」を発行しました。Amexが発行する初めてのカードというだけでなく、日本で初めて発行された“ゴールド・カード”でした。1980年以降は国内外での決済手段としてはもちろん、安全に安心して人生を豊かにし、ビジネスを成長させることを支えるサービスを提供しています。カードのバリエーションも、現在のグリーン・カードである「アメリカン・エキスプレス®・カード」(1983年)、「プラチナ・カード®」(1993年)と続き、今では、用途に合わせてより力強く支えられるように、ライフスタイルや目的にあわせて選べる個人向けのカードをはじめ、中小企業/個人事業主向けのビジネス・カード、中堅/大企業向けのコーポレート・カードを発行しています。
写真左は米国とカナダで発行されたアメリカン・エキスプレス®・カード、右は日本で最初のカードとして発行されたアメリカン・エキスプレス®・ゴールド・カード
仲間であるビジネスオーナーのニーズや社会の移り変わりに寄り添い、常に進化を
『令和5年3月 会社標本調査(国税庁)』及び『令和4年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について』を参考すると、日本の会社数は約286万社であり、個人事業主は約379万者、つまり日本には約640万ものビジネスオーナーがいらっしゃいます。こちらに含まれていないフリーランサーの方々を合わせると、もっと多くのビジネスオーナーが活躍されているでしょう。アメリカン・エキスプレスもまた、ビジネスオーナーです。アメリカン・エキスプレスは同じビジネスオーナー仲間として、日本のビジネスオーナーと共に成長を続けていきたいと考えています。
2000年代のインターネットとスマートフォンの急速な普及に伴い、従来のセキュリティサービスに加え、オンライン決済にもプロテクションを追加。サイバーセキュリティ対策や業務の効率化、デジタル化をサポートするサービス、コンタクトレスで行える企業間決済サービスなどで、日本のビジネスオーナーが安心してビジネスに専念するためのお手伝いをしています。
また、アメリカン・エキスプレスではクレジットカードという領域を超えたサポートも行っています。コールセンターとは別に、“あなた専任”の担当者が直接お困りごとに耳を傾け、課題解決にお役立ていただけるサービスをご案内するなどして、皆さまのビジネスをサポートします(ご入会から1年間が対象のサービスで、条件によってはご希望に添えない場合がございます。あらかじめご了承ください)。ご要望によっては、業種や地域、困りごとに応じたマッチングを実施し、企業同士をお繋ぎすることもあります。
その他にも、登録制のビジネス・カード会員様専用ビジネスマッチングプラットフォーム、ビジネス用語の解説やインタビュー記事を掲載するウェブマガジン「BUSINESS CLASS」をはじめ、コロナ禍となった2020年からForbes JAPANと共にビジネスオーナー同士が助け合う場となるようにと立ち上げた「お悩みピッチ」などを展開しています。ビジネスは多種多様あり、規模もさまざまです。しかし、ビジネスオーナーが抱える悩みは普遍的です。それぞれのビジネスを成長させるために、これからもビジネスオーナー同士が助け合い、切磋琢磨することでことができるコミュニティーをサポートしていきます。
アメリカン・エキスプレス初のピボットは明治時代
最後にアメリカン・エキスプレスが創業後初めて行ったピボットも紹介させてください。1850年の創業当時、ゴールドラッシュ真っ只中の米国では、金を掘り当て、一攫千金を夢見る多くの人々が西部を目指していました。ヘンリー・ウェルズとウィリアム・G・ファーゴ、ジョン・バターフィールドの3人は、金脈そのものではなく、「そこに集まる人々」に注目し、東部と西部を急行列車で繋ぐ運送会社を設立しました。これが、アメリカン・エキスプレスの誕生です。急行列車を意味する「エキスプレス」が社名になっているのは、ここに端を発します。
Amexは、初代社長ヘンリー・ウェルズによって、ニューヨーク州バッファローで創立された
当時の米国は治安が悪く、人々は強盗に遭うことも少なくなかったそうです。また、山間部の大吹雪や砂漠の猛暑など自然の脅威も立ちはだかっていたといいます。そのようななかでも安心できるようにと、貨物の被害を全額保証するというサービスを提供しました。
ゴールドラッシュの熱気が収まり、安全な資金の移動への関心が高まったそうです。「簡易で安全な送金」が世の中のスタンダードになると予測し、1882年には、現在の郵便為替にあたるマネーオーダーの取り扱いを始めました。このタイミングこそが、運送業から金融業へと変換するきっかけとなったアメリカン・エキスプレス初のピボットだと言えます。日本では明治15年、日本銀行が設立された年でした。
それから140年以上たった今も、ゴールドラッシュの頃と変わらず。時代のニーズにあわせて顧客目線に立ち、「日々、世界最高の顧客体験を提供する」というビジョンのもと、ピボットを繰り返しながら今までビジネスを続けています。