【目次】
データドリブンとは?
データドリブンが経営者に注目されている理由
データドリブン経営を行うメリッㇳ
データドリブン実践のステップ
データドリブン経営の実践に必要な3要素
データドリブンは的確な経営判断を下すのに役立つ手段
データドリブンとは?
データドリブン(Data Driven)とは、経験や直感ではなく、事業に関連するデータを収集・分析した結果に基づいて意思決定を行うことです。データドリブンは近年、経営やマーケティングの手法のひとつとして企業経営者の注目を集めており、データに基づいて経営戦略の立案や施策の実行を行う経営スタイルは「データドリブン経営」と呼ばれています。
顧客ニーズの変化が速く多様化する現在、経営戦略に欠かせないといわれているのは、従来の直感や経験などに頼る方法ではなく、客観的なデータです。デジタル技術が向上し、データの活用が容易になったこともあり、データドリブンを経営手法として取り入れる動きが活発になっているのです。
データドリブンが経営者に注目されている理由
データドリブンが経営者に注目されるようになったのはなぜなのでしょうか?データを活用した経営判断はデータドリブンが注目されるようになる前から行われていました。いま注目される理由は主に3つあると考えられています。
デジタル技術の発展
経営者がデータドリブン経営に注目するようになった理由のひとつが、デジタル技術の発展です。デジタル技術の発展によって膨大なデータの収集・分析・可視化が可能になり、データを活用した意思決定がしやすくなっています。IoTやAI技術の向上に伴い、売上管理といったような従来使われてきたデータに加え活用できるデータが格段に増えました。例えば、全国の店舗情報を集約し設備の稼働率を分析したり、気象情報を可視化して在庫管理に役立てたりといったさまざまなデータ活用が可能になっています。
顧客行動の多様化
データドリブンが注目されるようになった理由として、顧客行動の多様化も挙げられます。IT技術の進歩により、情報源が格段に増えました。テレビや新聞などマスに向けたメディアだけでなく、ウェブサイトやSNS、口コミなどに個人が手軽に随時アクセスできるようになり、顧客行動の多様化、複雑化が進んでいます。情報の入手、接触が個人によって変わる現在において、顧客行動をどう確度高く予測できるかが重要になっているといえるでしょう。
ビジネスの変化スピードの加速
そのほかの理由として、ビジネスの変化スピードが加速していることも考えられます。顧客行動の多様化とともに、ビジネスの変化スピードも加速しています。技術の進歩や社会常識の変化、顧客ニーズの変化スピードも加速しており、タイムリーに情報をつかみ、対応していくことが不可欠となっています。そのための手法として、大量のデータをリアルタイムに処理・分析し、意思決定を行えるデータドリブンが注目されているのです。
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データドリブン経営を行うメリット
データに基づいて経営戦略の立案や施策の実行を行う経営スタイル、データドリブン経営には、どのようなメリットがあるのでしょうか。主に、次の4つが挙げられます。
意思決定のスピードと精度が上昇する
データドリブン経営では、リアルタイムで更新されるデータや客観的なデータに基づいて意思決定を行うので、経営判断のスピードや精度が高くなるというメリットがあります。顧客ニーズが変化した場合でも、リアルタイムで分析したデータを用い、顧客ニーズに合わせた戦略をたてたり、施策を実施することが可能です。
自社の強みや課題が発見しやすくなる
データドリブン経営を行うことで、データの分析を通して自社を客観視することが可能となり、自社の強みや課題が発見しやすくなります。見落とされていた課題を解決し、自社の強みを活かした新規サービスを開発することで、ビジネスの可能性を広げることができるかもしれません。
再現性が生まれる
データドリブン経営には再現性が生まれるというメリットもあります。経験や直感は個人に依存する能力なので、客観的に説明するのが難しく、引き継ぐことが容易ではありません。経営者の判断基準がデータの観点から裏付けられれば、後継者に事業承継を行ったとしても、これまでと同様の意思決定を行うことが期待できます。
データドリブン実践のステップ
では、データドリブンの実践にはどのようなステップが必要なのでしょうか。「データの収集」、「データの可視化」、「データの分析・アクションプランの検討」、「アクションプランの実行」という4つのステップについて説明します。
ステップ1 データの収集
最初のステップは、必要なデータを収集することです。経営判断に必要なデータをピックアップし、データを収集・管理する仕組みを整えます。まだデータそのものがない場合は、顧客管理システムなどでデータ収集を始めます。データを収集していても、各部署に散在しているなどデータ管理ができていない状態なら、一元管理するシステムやツールなどを活用して、必要なデータを一元管理できるようにしましょう。
ステップ2 データの可視化
ステップ2はデータの可視化です。データを一元管理できても、そのデータを活かせるかどうかは、データを整理して可視化できるかどうかにかかっています。データ量が少なければ、一般的な表計算ソフトを使って手作業でも行えますが、データ量が膨大だととても手作業では追いつきません。必要なデータを種類ごとに振り分け、グラフや表でわかりやすくまとめるには、データの可視化に特化した専用ツールを使うのがおすすめです。
ステップ3 データの分析・アクションプランの検討
ステップ2でデータが可視化できたら、ステップ3でデータの分析やアクションプランの検討を行います。解決したい問題や現状を踏まえ、それぞれのデータの関連性や変化、傾向などを見ていくことで、ボトルネックの特定や意思決定を行う上で重要な情報を明らかにしましょう。なお、データの分析やデータに基づくアクションプランの立案・検討を行うには、データ分析のスキルと経験を持った人材が最適といえます。
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ステップ4 アクションプランの実行
分析から導き出された結果をもとに、意思決定やアクションを行います。アクション実行後は再びデータ収集を行い、効果の検証と分析を経て、新しい施策を立案・実行していきます。経営者に求められるのはリーダーとしてGOサインを出すだけではなく、組織的にデータに基づくアクションを実行できる文化をつくることだといえます。
データドリブン経営の実践に必要な3要素
前述の4つのステップの中でも少しふれていますが、データドリブン経営を実践するには、ツール・人材・組織力の3つの要素が必要です。それぞれ確認していきましょう。
ツール
データドリブン経営の実践に必要な要素として欠かせないのが、効率よくデータの収集・分析・可視化を可能にするツールです。少量のデータであれば一般的な表計算ソフトを使用して分析することもできますが、大量のデータを扱う場合は、目的に応じた専用のツールが必要になります。主なツールの種類を紹介します。
<データドリブンに活用できる主なツール>
- MA(マーケティングオートメーション)
MAはマーケティングにおいて、顧客情報の一元管理、マーケティング領域の情報分析、マーケティングの自動化を行うツールです。顧客に対し、データに基づいたマーケティングを実践するのに役立ちます。
- SFA(セールスフォースオートメーション)
SFAは営業支援システムと呼ばれるもので、顧客管理や案件管理、営業チームの行動管理、商談管理などの機能を持っているツールです。営業分析に必要なデータを可視化するのに役立ちます。
- CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)
CRMは顧客の基本情報や購買履歴、問い合わせ履歴などを管理するツールです。顧客分析を行い、顧客に対して最適なアプローチ方法を考えるのに有用です。
- DMP(データマネジメントプラットフォーム)ツール
DMPツールはウェブ上に蓄積されたマーケティングに有用なデータを収集し、一元管理できるプラットフォームです。主に、ウェブを活用した集客や新規顧客の開拓等に役立ちます。
- BI(ビジネスインテリジェンス)ツール
BIツールは、ユーザーがニーズに合わせてデータの収集・分析・可視化を行うことができるツールの総称です。ダッシュボードの作成やレポート作成などの機能があり、データの共有も容易です。
- アクセス解析ツール
アクセス解析ツールは、自社が管理するウェブサイトに関するデータや検索エンジンの結果を収集・分析・可視化するためのツールです。各ページのアクセス状況の分析や検索ボリュームの調査などができ、集客に役立ちます。
人材
データドリブン経営の実践には、適した人材も必要です。より効率的、効果的な意思決定を行うためには、ツールを使って実際にデータを分析し、アクションプランの立案や検討を行える人材は欠かせません。デジタル技術の発展により、データ収集や分析などが行いやすくなったとはいえ、効率的に分析を行うためにはデータサイエンティストなど専門家が必要となります。自社にいない場合は、外部の人材を確保しつつ、自社でも人材を育てていくことを考えることも大切だといえるでしょう。データドリブン経営の目的は、高いパフォーマンスの実現ですので、データ分析に膨大な時間を割かないようにすることが大切です。
組織力
データドリブン経営の実践には、組織力も不可欠です。分析のためのデータの収集には社内各部署の協力が必要ですし、分析結果に基づいたアクションプランは実行されなければ意味がありません。データドリブン経営を実践するということを、組織文化として、しっかりと浸透させることが必要でしょう。
データドリブンは的確な経営判断を下すのに役立つ手段
ここまで、データドリブン経営について解説してきました。以下に要点をまとめます。
- データドリブンとは、収集・分析したデータに基づいて意思決定を行うこと
- データドリブンが経営者に注目される理由は、「デジタル技術の発展」「顧客行動の多様化」「ビジネスの変化スピードの加速」
- データドリブン経営によって、顧客ニーズに沿ったマーケティングやサービスを提供できたり、意思決定のスピードと精度が向上したりするだけでなく、自社の強みや課題を発見できることなどがメリット
- データドリブン経営の実践には、ツール・人材・組織力の3つの要素が必要
データドリブン経営は、顧客行動が多様化し、変化のスピードが速い現代の経営環境において欠かせない要素です。実践に必要な要素やステップを準備し、データドリブン経営を成功させる取り組みを進めてみてください。
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