契約書のレビュー業務において、これまでどんな課題や現場の声があったのでしょうか?
これまでの契約書レビューは、各企業の法務担当者が参考文献や過去の契約書・資料と照らし合わせて行うのが一般的でした。しかし、優秀な法務担当の人材確保はもちろん、チェック作業に時間を要するため、契約締結まで時間がかかる、属人的な業務のため組織としてのノウハウが蓄積されない、など多くの課題があげられていました。こうした課題を解決するサービスとして、AIやソフトウェアを使う“リーガルテック”に大きな注目が集まっていますね。
そもそもリーガルテックとは、どのようなサービスがあるのでしょうか?
リーガルテックとは、法務業務にまつわる課題を最新のテクノロジーで解決・サポートするAIやソフトウェアを意味します。
私自身、法律事務所に入所して多くの企業法務に携わってきましたが、契約書というのは業種や規模に関わらずどんなビジネスでも必ず発生している一方、IT化が進んでいないゆえの弊害というのも感じていました。もっと効率的に、さらに多くの方に役立つリーガルテックがあるのではないか?と考えたところから、「LegalForce」はスタートしています。
現在リリースしている2つのサービスについてお聞かせください。
「LegalForce」は、主に契約締結以前に活用いただくソフトウエアです。AIによって契約書のリスクの発見や修正作業などをすべてワンストップで実行。契約審査の効率化と正確性を高めてくれます。AI契約書管理システムの「Legal Force キャビネ」は、アップロードするだけで自動で契約書情報(「タイトル」、「当事者名」、「締結日」、「更新拒絶期限日」、「開始日、終了日」等)を抽出し、検索可能なデータベースを構築します。複数の契約書を関連づけて登録・管理ができます。キーワード入力によって原契約を探すことも可能です。
お客様はどのような業種が多いのでしょうか?
先程も申し上げたように、業種や企業の規模に関わらずどんなビジネスにも契約書は欠かせません。そのため、「LegalForce」や「LegalForceキャビネ」を契約していただいているお客様も多種多様です。割合としてどの業種が多いとかいうことはなく、あらゆるお客様から要望やフィードバックを日々いただいています。多くのリアルな声に触れることで、「LegalForce」があらゆる企業の成長により貢献できる可能性がまだまだあることを感じています。
企業だけでなく、法律事務所での採用も多いと伺いました。
「LegalForce」に関しては、現在1,200社の企業様、300事務所の法律事務所様が導入くださっています。(2021年12月時点)企業に法務担当の方がいない場合、法律事務所が契約書レビュー業務を担うことも多々ありますからね。さらに言うと、法務担当者や法律事務所の方のチェックに加え、より精度の高い契約書のレビューを行うためにご契約いただくケースも増えています。「LegalForce」のレビュー結果を踏まえた上で、法務担当者もしくは法律事務所の弁護士がチェックするというフローになることで、見落としや漏れも軽減。クオリティが上がるだけでなく、自動レビューの結果が即時に表示されることもあり生産性が格段にあがったという声をいただくこともよくあります。また、レビュー可能な対応類型が多く、ひな形から参考となる条文を瞬時に参照できるという点にも魅力を感じていただいている企業が多いです。
また、企業によっては法務担当が一人しかいらっしゃらない場合もあります。企業の取引規模が拡大すると、契約業務の量も必然的に増えていきます。そうしたときにも「LegalForce」はまさに有効的と反響をいただいています。
「LegalForceキャビネ」に関しては、一定数の契約書を扱う企業であればお役立てできるサービスです。締結後の契約書の内容を管理できるので、IPO準備や内部監査が求められるスタートアップはもちろん、大量の契約書を管理する必要がある大企業まで、様々な企業にご利用いただいています。
導入にあたってはどのようなサポートがあるのでしょうか?
カスタマーサクセスの選任担当者が運用定着までサポートします。また、いつでも相談可能なチャットサポートも提供しています。品質はもちろんですが、スピード感というのも「LegalForce」を導入いただいたお客様から評価が高いのです。そのためお客様が気になったタイミングで即対応・解決できるような体制を整えています。
また、定期的にユーザーの方の交流会開催や、オンラインコミュニティでの情報交換なども実施しています。
最後に改めて、リーガルテックを活用するメリットとはなんでしょうか?
契約業務の時間削減と質の向上を両立させ、事業に貢献できるようになるのは大きなメリットです。さらに契約締結までのスピードが向上するだけでなく、組織のノウハウとしての蓄積も実現できます。また、契約締結後も契約に内在するリスクを認識して、マネジメントすることは非常に重要です。弁護士の法務知見と最新のテクノロジーを組合せによるリーガルテックは、まさに企業法務における契約業務の品質向上と効率化を実現するうえで欠かせないものです。「LegalForce」や「LegalForceキャビネ」がより価値を発揮し、企業の成長を支えるスタンダードなものになっていくことを願っています。
LegalForceをはじめ、法務業務をサポートするサービスのお支払いにもアメリカン・エキスプレスのビジネス・カードがご利用いただけます。
■ プロフィール
角田 望
株式会社LegalForce
代表取締役CEO
1987年生まれ。2010年、京都大学法学部卒業、旧司法試験合格(論文全国1位)。2011年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。2013年、森・濱田松本法律事務所入所。2017年に株式会社LegalForceを創業、現在は同社のCEOを務めている。
■スタッフクレジット
記事:中村真紀 編集:芝山 一(ADDIX)