【目次】
ボトルネックとは業務フローに停滞や生産性の低下を招いている箇所のこと
ボトルネックが生じる主な原因
ボトルネックが引き起こすリスク
ボトルネックを解消する方法と手順
ボトルネックのまとめ
ボトルネックとは業務フローに停滞や生産性の低下を招いている箇所のこと
ボトルネックとは、英語では「bottleneck」となり、瓶の最も細い部分を指す言葉です。瓶から液体を注ぐ際、瓶の最も細い部分「bottleneck(瓶の首部分)」があることで、液体を少しずつ注ぐことができます。しかし、見方によっては、「bottleneck」によって注げる液体の量が制限され、液体を注ぐ作業を滞らせているともいえます。これに由来しビジネスにおいては、ボトルネックは業務フローにおいて進行の遅延や、著しい生産性の低下を招く箇所を指します。
ボトルネックが生じる主な原因
ここではボトルネックが生じる主な原因を4つ紹介します。原因の特定は、ボトルネックを解消するうえで重要です。
リソース不足
ボトルネックが生じる原因の1つとしてあげられるのが、リソース不足です。
人員や機器、資金などが不足することで工程に停滞が生じます。たとえば、人手が不足すれば、従業員一人ひとりに課せられる業務量は増加し、業務完遂までの所要時間は増大するといったように、いずれかの工程において、リソース不足により生産性の低下や作業の遅延が発生すると、全体の業務フローの効率を大きく阻害することになります。
属人化とブラックボックス化
属人化とブラックボックス化も、ボトルネックが生じる原因の1つです。
属人化とは、業務を特定の人物に依存している状態を指し、ブラックボックス化とは、業務に携わる関係者以外が業務内容や内部情報を把握できない状態を指します。属人化、もしくはブラックボックス化した業務は担当者を欠く、もしくは業務の詳細を把握しているものが不在の場合、業務進行に停滞を招きます。
非効率的なプロセス
非効率的なプロセスもボトルネックが生じる原因になります。非効率なプロセスの代表的なケースが手作業などによるアナログ業務です。
たとえば、書類に押印が必要な場合には、「紙で出力する」「判子や朱肉を用意する」「担当者に押印してもらう」などのプロセスを踏みますが、これらの工程はオンライン上で電子捺印する場合よりも手間を要します。そのため、業務フローにおいて遅延の原因になると想定されます。
同じく、煩雑な承認フローも業務進行の妨げとなり、生産性の低下を招く要因になり得ます。
コミュニケーション不足
コミュニケーションが不足することでも、ボトルネックは生じます。
コミュニケーションが適切に行われていないことが原因となり、業務が停滞してしまう場合などです。業務への理解において従業員や関係者の間で齟齬が生じた場合、作業の重複や誤解を引き起こす可能性があります。
たとえば、プロジェクトの目的や期限、各担当者の役割といった重要な情報の共有が不十分な場合、効率的な作業分担や進行管理は困難になり、業務が停滞し得ます。
ボトルネックが引き起こすリスク
ボトルネックが生じると経営にさまざまなリスクを引き起こします。ここでは代表的なリスクを4つ紹介します。
生産性の低下
ボトルネックが生じると、生産性が低下してしまいます。
特定のプロセスでのみ遅延や停滞が生じた場合でも、業務全体に影響を及ぼしかねません。たとえば、「A」「B」「C」という3つの工程を経て1つの商品が生まれる場合、「B」に遅延が発生すると、ほかの工程が問題なく業務を完遂しても商品完成に至るには時間がかかります。
ボトルネックは、個別工程としてだけではなく、全体的な業務フローに対して生産性の低下のリスクを引き起こします。
コストの増加
ボトルネックが生じることで、コストが増加する可能性があります。
ボトルネックが生じたことによって作業の進捗が遅い場合、プロジェクトの期日を守るために時間外労働を行えば、人件費や光熱費などのランニングコストが増大します。作業量によっては新たな人員追加が生じることもあるでしょう。
離職率の上昇
ボトルネックが引き起こすリスクとして、離職率の上昇もあげられます。
ボトルネックが生じた際、過度な負担がかかることで、身体的、精神的な疲労やストレスが高まり、仕事へのモチベーションの低下や職場への不満の蓄積などが考えられます。それらが要因となって離職につながる可能性もあるでしょう。
顧客満足度の低下
ボトルネックが生じることで顧客満足度を低下させてしまう可能性もあります。
ボトルネックが生じると、製品やサービスにおける品質維持が難しくなります。品質が低下してしまうと、顧客満足度やブランドイメージにも影響を及ぼすでしょう。
ボトルネックを解消する方法と手順
ボトルネックを解消する代表的な方策として知られているのがイスラエルの物理学、エリヤフ・ゴールドラット氏が提唱する「TOC(Theory of Constraints)」で、日本語では一般的に「制約理論」または「制約条件の理論」と訳されます。
「TOC(Theory of Constraints)」とは、全体最適のマネジメント理論で、組織の仕事の流れの中にはどこかに必ず制約があり、その制約に集中して改善すれば組織全体の成果を最大化することができるという考え方が基本となっています。
ここでは「TOC(Theory of Constraints)」を用いたボトルネック解消方法を5つの手順にわけて紹介します。
Step1:ボトルネックを特定する
最初のステップはボトルネックの特定です。業務フローを妨げている工程や箇所を突き止めます。特定する際、業務プロセスの可視化や全体像の把握が必要となるので、システム処理や業務の流れを視覚的にわかりやすく表現できるフローチャートの活用がおすすめです。
Step2: 特定したボトルネックのパフォーマンスを最大限活用する
次に、ボトルネックのパフォーマンスを最大限に活用する方法を検討します。ボトルネックが生じている要因はさまざまで、複雑に絡んでいる可能性があります。そのため、そもそも本来の能力を十分に発揮できているのか、発揮できていないのは何らかの不具合や障害によってなのかなど、ボトルネックが生じている要因を抜本的に見つけることがポイントです。
抜本的な要因が特定できたら、ボトルネックを単なる個別工程における障害と認識するのではなく、業務フロー全体を改善する視点に立ちながら、まずは特定したボトルネックのパフォーマンスを最大限活用できるようにする対策を行うことが重要です。
Step3:ほかのプロセスのパフォーマンスと特定したボトルネックのパフォーマンスを合わせる
特定したボトルネックと、ボトルネック以外の各工程のパフォーマンスを合わせるために、ボトルネック以外の各工程を最適化します。全体の処理能力を向上させるためには、まずは現状のボトルネックに合わせて、ほかの作業内容や流れを調整しましょう。
Step4:特定したボトルネックを抜本的に改善する
現状での稼働力、パフォーマンスを最大化できたら、特定したボトルネックの抜本的な改善に着手します。ボトルネックが生じている要因がリソース不足であればリソースを補填し、スキルや知識の不足であれば能力向上を期待できる研修などの施策を行うといいでしょう。特定したボトルネックを改善できたら、ボトルネック以外の各工程も最適化し、業務フロー全体のバランスが取れるようになれば、生産性を底上げできます。
Step5:ボトルネック解消の流れを繰り返す
一度特定したボトルネックが解消できても、別のボトルネックが生じる可能性があります。Step1に戻り、新たなボトルネックを特定し、改善を繰り返しましょう。この5つのStepを繰り返して定期的に点検することで、継続的にパフォーマンスの改善をはかることが可能です。
また、こうした意識を持つことが、ボトルネックを未然に防ぐことにつながるでしょう。
ボトルネックのまとめ
ボトルネックについての要点を以下にまとめます。
・ボトルネックとは、業務フローにおいて進行速度が遅くなったり効率が著しく低下したりする箇所のこと
・ボトルネックが生じる原因はリソース不足、属人化やブラックボックス化、非効率的なプロセス、コミュニケーション不足等
・ボトルネックが生じると生産性や顧客満足度の低下を招き、コスト増加や離職率上昇につながる
・ボトルネックを解消する代表的な方策として「TOC(Theory of Constraints)」を用いた5つのStepが有効
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