■ 監修者プロフィール
佐原 三枝子(さはら・みえこ)
税理士・M&Aシニアスペシャリスト
兵庫県宝塚市で開業中。工学部やメーカー研究所勤務から会計の世界へ転向した異色の経歴を持つ。「中小企業の成長を一貫してサポートする」ことを事務所理念とし、税務にとどまらず、経営改善支援、事業承継や海外事業展開の支援を手掛けている。
佐原税理士事務所(外部ウェブサイトへ移動します)
リボ払いで購入した場合の会計処理について
会計処理~3つのステップ
商品の仕入れや経費の支払いなどで、リボ払い・分割払いを使った場合、金利手数料が発生し、未払金が残ることになります。なお、代金の支払い期間中は「未払金」と「支払利息」の科目で仕訳を行います。
具体的な例を参考に、会計処理の方法を3つのステップで解説していきましょう。
1. 購入した時の会計処理方法
10万円の消耗品を月1万円返済のリボ払いで購入し、金利手数料1,000円、消費税率10%という例でみていきましょう。
クレジットカードで決済する場合には、購入日と、実際に口座から代金が引き落とされる日が異なります。そのため、購入代金はいったん未払金として処理します。購入時には、借方に「消耗品費」と「仮払消費税」、貸方に購入代金を「未払金」として計上します。
2. 初回支払い時の会計処理方法
初回支払い時には、借方にその月のリボ払い分を「未払金」、金利手数料を「支払利息」として計上します。
【ここがポイント!】
このように、支払いを行うごとに未払金を処理することで、帳簿上の未払金が相殺されていきます。
3.繰り上げ返済時の会計処理方法
リボ払いは、支払いの途中でも「繰り上げ返済」をすることができます。会計上は、繰り上げ返済分を「未払金」として計上します。例えば5万円を繰り上げ返済した場合は、次のように仕訳します。
なお、繰り上げ返済時に振込手数料がかかる場合は、「支払手数料」として借方に計上しましょう。
繰り上げ返済をすると、金利手数料の負担を軽くすることができます。資金繰りに余裕があるときは、積極的に繰り上げ返済をするといいでしょう。
決算時の未払利息の計上方法
リボ払いの支払いが決算期をまたいでいる場合、貸借対照表日までに支払っていない金利手数料は「未払利息」として当期の費用に計上する必要があります。
決算整理仕訳で見越し計上する
まだ発生していない支払利息を計上するためには「決算整理仕訳」を行います。3月末決算の会社で、3月分のリボ払いにかかる金利手数料が4月支払いの場合には、貸方に当期の「未払利息」として処理します。
決算整理仕訳
決算整理仕訳をした上で、翌期首に次のように「再振替仕訳(逆仕訳)」を行います。
再振替仕訳
【ここがポイント!】このように、決算期をまたいでリボ払いをしている場合は、金利手数料の決算整理仕訳と再振替仕訳の会計処理が必要です。
未払金、利息の計上もれは要注意
リボ払いを利用すると、一括払いと比べて仕訳や会計上の処理方法に違いがありますが、そこまで難しいものではありません。ただし、未払金や利息などの経費はもれなく計上しないと、本来の税額よりも多く支払ってしまう可能性もあります。リボ払いを利用した際には、税理士にも相談しながら正確に仕訳、申告、納税するよう心がけましょう。
アメリカン・エキスプレスのビジネス・カードでお支払いいただいた、ビジネス目的のカードご利用分は、あとからリボ払いに変更いただけます。
※ご利用には諸条件がございます
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文・編集:税理士ドットコム ※外部サイトに移動します