サステイナブルツーリズムとは?地域の自然と文化を守る、新しい旅のかたち
サステイナブルツーリズムとは?地域の自然と文化を守る、新しい旅のかたち
2022/11/21
2022/11/18
サステイナブルツーリズム = 持続可能な観光
サステイナブルツーリズム = 持続可能な観光
近年、海外では観光地の本来の姿を持続的に保つことができるように、観光地の開発やサービスの在り方を見定めて旅行のプランニングする「サステイナブルツーリズム」が提唱されています。
2015年の国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」における持続可能な開発目標、いわゆる「SDGs」への関心が高まるなか、新しい時代の「持続可能な観光」であるサステイナブルツーリズムについて、その考え方や背景、国内外での事例をご紹介します。
サステイナブルツーリズムの定義とは
サステイナブルツーリズムの定義とは
サステイナブルツーリズムとは、「観光地の本来の姿を持続的に保つことができるように、観光地の開発やサービスのあり方を見定め旅行の設定を行うこと」(引用:JTB総合研究所HP・観光用語集)です。
こうした新しい旅のスタイルの提唱は、観光地の開発や飛行機による温室効果ガス排出量の増加など、自然破壊や環境汚染が広がり、世界的にも問題になったことが始まりでした。その反省から、それぞれの地域に残された自然環境や伝統文化に配慮して、本当の姿の自然や文化を体験することを通じ、旅する人と観光地に住む人が、互いにメリットを得られることが重要という考えが生まれてきました。
サステイナブルツーリズムと似た言葉として、「エコツーリズム」や「グリーンツーリズム」があります。これらはいずれも、本質的な部分では同じですが、それぞれニュアンスが異なっています。
<エコツーリズムとグリーンツーリズムとの違い>
■エコツーリズム
旅行者が、自然や観光資源について知識を持つ人から案内や助言を受けて、その自然や観光資源の保護に配慮しながらふれあい、それらに関する知識や理解を深めるための活動
(参考)エコツーリズム推進法
■グリーンツーリズム
都市に暮らす人が休日などを利用して、農村や山村、漁村などに滞在して行う農作業や林業、漁業体験などの活動
(参考)農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律
エコツーリズムやグリーンツーリズムとは、観光地の自然や文化、産業などとのふれあいや体験など、具体的な旅の行為を指しています。
一方でサステイナブルツーリズムは、それらの行為や手段を含めた、さらに大きな新しい旅のスタイルの考え方と言えるのではないでしょうか。
なぜ今、サステイナブルツーリズムが注目されているのか?
なぜ今、サステイナブルツーリズムが注目されているのか?
それではなぜ、最近になってサステイナブルツーリズムが注目されるようになってきたのでしょうか?その大きな推進力となったのが、2015年の国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」における持続可能な開発目標、いわゆる「SDGs」です。
「持続可能な開発のための2030アジェンダ」では、世界における人類共通の課題として、貧困を終わらせることや不平等や不公正を無くすこと、気候変動へ対処などについて、国際的な枠組みを定めました。
そのうえで、これらの課題を解決するために、17の具体的な目標と、それぞれの目標に関する169の関連ターゲットを、「持続可能な開発目標」(SDGs)として掲げました。SDGsの17の目標やターゲットのなかでも、以下には「観光」について明記されています。
<観光に関わるSDGsとそのターゲット>
■目標8 働きがいも経済成長も
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。
・ターゲット8.9
2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。
■目標12 つくる責任 つかう責任
持続可能な生産消費形態を確保する
・ターゲット12.b
雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
■目標14 海の豊かさを守ろう
持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する。
・ターゲット14.7
2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。
こうしたSDGsの目標やターゲットをうけて、国連世界観光機関(UNWTO)が「観光と持続可能な開発目標」をまとめて以来、サステイナブルツーリズムは旅行業界を超えた、新しい、そしてたいへん大きなテーマとなりました。
海外におけるサステイナブルツーリズム
海外におけるサステイナブルツーリズム
ジャクソンホールは全米屈指のスキーリゾートとしても名高い
サステイナブルツーリズムに関しては、2008年にグローバル・サステイナブル・ツーリズム協議会(GSTC)により、「世界規模での持続可能な観光クライテリア(GSTCクライテリア)」が発表されました。これに基づいて世界中で、GSTCが定める国際基準を満たす認証制度づくりが進んでいます。
GSTCによるサステイナブルツーリズムの国際認証を受けている観光地は、世界でもまだそれほど多くありません。
たとえばアイスランドを代表する景勝地であるスナイフェルネス半島、アメリカ・ワイオミング州のリゾート地で、イエローストーン国立公園の玄関口となっているジャクソンホール、古くから仙境といわれ水墨画のような景色が広がる中国の黄山市などが、サステイナブルツーリズムの国際認証を受けた、世界の代表的な観光地として知られています。
日本におけるサステイナブルツーリズム
日本におけるサステイナブルツーリズム
世界遺産にも登録されている、白川郷・五箇山の合掌造り集落
残念ながら、日本ではまだサステイナブルツーリズムの国際認証を受けた観光地はありません。しかし、政府や関係団体が国際認証を目指した活動をつづけており、またサステイナブルツーリズムに通じる具体的な取り組みも広がっています。
<日本におけるサステイナブルツーリズムに向けた取り組み例>
■群馬県みなかみ町のラフティングやキャニオニング
名峰・谷川岳に代表される雄大な山々と、利根川をはじめとした清流に恵まれたみなかみ町では、ラフティングやキャニオニングなど、地域の自然を活かした観光を通じて地元の振興と活性化を目指しています。
■岐阜県白川郷の合掌集落
ユネスコの世界遺産にも登録されている、白川郷の合掌集落。日本の山村の歴史を今に伝えるこの集落では、伝統や環境を保全するさまざまな取り組みをすすめつつ、屋根に使われる茅を刈る体験ツアーや子どもたちへの地域学習などに積極的に取り組んでいます。
■沖縄県東村の環境や自然への配慮したエコツアーや農村民泊
沖縄本島北部のやんばる地域にある東村では、マングローブの森をカヌーで巡る秘境ツアーやシャワークライミング、地元の農家に宿泊してその暮らしを体験する農村民泊など、村の自然や環境に配慮した旅のスタイルを提案し、好評を得ています。
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