米や酒をはじめ、食の宝庫として知られる新潟県。美味しい料理のみならず、お菓子の世界でも、魅力的な商品があふれています。なかでも注目すべきは、老舗の和菓子店が、現代のエッセンスや洋素材をとり込み、斬新な発想で開発した目にも美しい和菓子の数々。

今回は、地元の人たちにも愛されている、SNS映え必至の進化系和菓子を5つ厳選しました。 

おはぎといえば、日本人が古くから親しんできたおやつ。これに現代のエッセンスをプラスして編み出されたのが、おはぎをアレンジした「萬代餡」です。餡や求肥に、季節の果物やマスカルポーネチーズ、ナッツ、チョコレートなど、洋菓子の要素を加え、新たな進化系の餡菓子が誕生しました。

ベースとなるお餅には、口に広がるコクと甘みが特徴の新潟の新ブランド米「新之助」を配合しています。甘さ控えめの上品なオリジナル餡とともに、新潟米の味わいも楽しめる一品です。

見た目も芸術品のように美しく、愛らしいまんまるのフォルムが印象的です。新潟のお米と、熟練の和菓子職人が織りなす、次世代の和菓子です。

「伝統にとらわれない新しいかたちの和菓子」をコンセプトに、創業明治15（1882）年の老舗和菓子店が展開する新ブランド「HIYORIKA」の代表作がこちら。美しく輝く羊羹は新感覚の食べるアート作品といった印象で、若い世代でも味わいやすいよう、餡の量を調節してあります。

格式高い伝統の味わいに、フランボワーズやカシスなどのベリー、ラムレザンや生姜オレンジ、コーヒーといった洋風のフレーバーやフルーツなどを取り入れています。餡の甘みだけでなく、それぞれの酸味や香りが絶妙なバランスで引き立てあい、味わい深い羊羹に仕上がっています。

色、味、姿、そのすべてに心奪われる、こだわりの羊羹6種は、もはや極上の芸術品です。

安永7（1778）年に創業し、240年以上も続く長岡藩の御用菓子司を勤めた老舗。創業以来、変わらぬ製法を守り、職人の技術を生かしながら現代風にアレンジした干菓子を提供しています。また、お店の名前を冠した「越乃雪」は、日本三大銘菓の一つとしても知られています。

そんな老舗和菓子店が、干菓子の魅力を現代に伝えるべく開発した「おさとうのまほう」シリーズは、ストーリー性のあるデザインがSNSなどでも話題に。昔ながらの玩具をモチーフにしており、口の中でさっと溶ける和三盆糖の打ち物に、さまざまなフレーバーで彩りを加えた「おいしい おえかき」を筆頭に、「こはくの つみき」や「あまい おはじき」、「万華鏡のかけら」の4種類を展開しています。

一番人気は日本の伝統色のクレヨンをイメージした「おいしい おえかき」。味は、こうちゃ、チョコ、ばら、キャラメル、わさんぼん、ゆず、まっちゃ、コーヒーの8種類。季節により色や味の組み合わせも変わる、遊び心が詰まった心温まる干菓子です。

新潟出身のクリエイター集団「hickory03travelers」が手がけるのが、新潟で古くから親しまれている明治33（1900）年創業の郷土菓子店「明治屋ゆか里店」の「ゆか里」という伝統菓子をアレンジした、新生あられ菓子。もち米（あられ）に砂糖蜜をかけた小さな粒は、金平糖のようにも見えます。甘さ控えめの素朴な味わいで、そのまま食べるだけでなく、お茶やお好みのドリンクに浮かべて楽しむこともできます。

「浮き星」というネーミングは、製法を受け継ぐ職人が少なくなり、ゆか里の絶滅を危惧したhickory03travelersにより考案されたもの。同時にパッケージデザインやフレーバーなどをリニューアルしたことで、おしゃれに敏感な若者の間で話題となり、人気が急上昇しました。今では全国各地から、浮き星を目当てに訪れる人もいるほどです。

カフェオレやいちご、ジンジャー、ミックス、柚子、抹茶、ミントなど、趣向を凝らしたフレーバーが18種類と、お相手の好みに合わせてセレクトできるのもうれしいポイントです。

安政5（1858）年創業の老舗菓子店。バウムクーヘンのように焼き重ねた、年輪状のソフトクッキー生地の中にクリームを入れた「万代太鼓」は、「新潟まつり」活性化のために創作されました。和太鼓の郷土芸能「万代太鼓」をイメージし、その名を冠した一品です。新潟銘菓にふさわしい郷土に根差したネーミングとともに、昭和44（1969）年発売のロングセラー商品で、今や新潟土産の定番として多くの人に親しまれています。

バウムクーヘンそのものの形状とは裏腹に、しっとりしつつも歯応えのある、ソフトクッキーのもふっとした不思議な食感が特徴で、口当たりの良いクリームとの相性も抜群です。

パッケージの意匠として描かれた花火は、郷土芸能として子どもから大人まで親しまれてきた万代太鼓とともに、新潟祭りには欠かせない風物詩です。

パッと目を引く斬新なビジュアルに伝統の技術をうまく融合させた、こだわりがぎっしり詰まった進化系和菓子は、見た目、味ともに抜群の逸品。今や新潟みやげの新定番として多くの人に親しまれています。思わずSNSに写真をアップしたくなる見た目をきっかけに、土産話も弾むこと請け合いです。