クレジットカードには、「付帯保険」と呼ばれるさまざまな保険がついています。そのため海外旅行に出かける際、クレジットカードに付帯している海外旅行保険で済ませる、追加で任意の海外旅行傷害保険に加入するなど、必要な補償についての考え方は人それぞれです。しかし海外で体調を崩したり、不慮の事故で医療機関を受診した場合、日本国内に比べて治療費が高額になってしまいます。安心して海外旅行を楽しむために、海外旅行保険もしっかり検討することが大切です。

そこで今回は、アメリカン・エキスプレス保険部の小澤純子さん、國分正光さんに、クレジットカードの海外旅行保険、海外旅行付帯保険について教えてもらいました。

はじめに、クレジットカードに付帯している海外旅行保険の基本について教えてもらいましょう。

「クレジットカード会社では、カード会員様に安心してカードを利用していただくためのサービスとして、保険会社と連携し、無償で保険を提供しています。これが付帯保険です。海外旅行付帯保険で補償できる上限金額は、クレジットカード会社やクレジットカードの種類によって異なりますが、一般的には『傷害死亡・後遺障害保険金』『治療費用保険金』『携行品損害保険金』などが付帯しているケースが多いですね」（小澤さん）

付帯保険の基礎知識について詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。

「クレジットカード付帯の海外旅行保険では、基本的に、出発から90日以内の旅行中の事故が補償対象となります。より具体的には、

・日本国内の住居を出発したときから、住居に帰着されるまで

・日本を出国した前日の午前0時から日本に入国した翌日の午後12時まで

の2つに当てはまる期間になります。」（國分さん）

最大90日の海外旅行について補償してくれるクレジットカード付帯の海外旅行保険には、カードに加入しているだけで適用になる「自動付帯」と、クレジットカードを利用することで適用になる「利用付帯」があります。海外旅行保険で利用付帯が適用されるには、どのような支払いを行うことが必要なのでしょうか。

「利用付帯の旅行傷害保険では、たとえば『旅行会社へのツアー代金の支払い』や『旅行で利用する公共交通機関の料金の支払い』をクレジットカード決済していただくなどの条件が設定されていることがあります。クレジットカードで支払ったことを証明するためには、カードの明細書でも大丈夫ですが、旅行予約時に決済画面のスクリーンショットなどを撮っておけるといいですね。 また、マイルなどでフライトを予約された場合は利用付帯の対象外となりますが、燃油サーチャージ費用の支払いをクレジットカードで行えば利用付帯の保険が適用となります」（小澤さん）

そのほか、空港までの電車料金を支払ったり、公共交通機関の切符をクレジットカードで購入することでも、利用付帯は適用になります。お持ちのクレジットカードはどんな条件で利用付帯が適用になるか、規約をしっかり確認しましょう。

では具体的に、海外旅行付帯保険でサポートしてもらえるトラブルについて教えてもらいましょう。まず、一般的な海外旅行付帯保険として挙げられるのは下記です。

【傷害死亡・後遺障害保険金】旅行期間中の事故によるけがが原因となる死亡や後遺障害。

【傷害・疾病治療費用保険金】けがや病気の治療費用を補償。

【携行品損害保険金】旅行期間中に携行する身の回りの品が盗まれたり、事故により壊れたりした場合に時価額または修理費用を補償。

「カードの種類によりますが、旅行期間中に誤って他人をけがさせたり他人のものを壊したりして、被害者から法律上の損害賠償を請求されたときに、その賠償額を補償する『賠償責任保険金』などもあります」（國分さん）

「あまり知られていないかもしれませんが、『救援者費用保険金』などもあります。旅行中にけがや病気で入院したり、捜索や救助が必要となるなどのトラブルが発生した場合、日本からご家族が現地に駆けつける際の渡航や宿泊などの費用を補償する保険です」（小澤さん）

クレジットカードの海外旅行付帯保険は旅行者だけでなく、日本に残した家族を含め、不測の事態が発生した場合に幅広く手を差し伸べてくれる存在ですが、補償対象外となるケースもあるのでしょうか。

「現地での突発的な病気やけがで医療機関を受診した場合はもちろん補償の対象となりますが、ドラッグストアなどご自身で市販薬を購入した場合には対象外となりますのでご注意ください。 保険というのは、偶発的な事故や病気で発生した料金をカバーすることが基本です。そのため、たとえば日本で治療中の持病の薬を海外旅行先で処方してもらうなどの費用も、受診したとはいえ基本的に対象外ですね」（小澤さん）

次に、万が一のトラブルに巻き込まれてしまった場合、保険金申請にあたって注意すべき点を教えてもらいました。

「申請いただく際に必要となる、現地での治療費、医療機関を受診するために使用したタクシー代など、負担した費用はすべて領収書を取っておいてください。クレジットカード払いの利用明細でも問題ないと思われるかもしれませんが、明細の支払先名称が店舗などと違う場合もあり、確認するのに時間がかかってしまうことがあります。そのためスムーズな申請には、領収書やレシートをもらっておくことが大切になります」（小澤さん）

「例えば現地で携行品が破損してしまった時には、壊れた状態を写真に撮っておくと請求手続きがスムーズです。盗難に遭った場合には、現地の警察で盗難証明書を発行してもらう必要があります。フライト時に預けた荷物が破損したり盗難に遭ったりした場合には、空港スタッフに申告し、事故証明書を発行してもらってください」（國分さん）

日本語が通じない場所でトラブルに遭遇すると、パニックになってしまうかもしれませんが、忘れずにレシートや領収書を取っておく、写真に残せるものは撮影しておく、ということだけでも覚えておくようにしましょう。

海外旅行保険の基本が理解できたところで、アメリカン・エキスプレスならではの海外サポートについても教えてもらいました。

クレジットカードの付帯保険でカバーできる保険もありますが、盤石な海外旅行にするために、任意で加入できる新・海外旅行保険【off！（オフ）】（以下、off！（オフ））を追加するとより安心です。

「クレジットカードの付帯保険は、カード会社によって、またカードの種類によって補償内容や補償額が異なります。ご自身のカードに付帯した補償内容を確認して、『治療費が足りるか不安』とか、『この補償が付帯していないので追加したい』という方もいるでしょう。そんな方におすすめなのが有料保険の『off！（オフ）』です。 パッケージプランとオーダーメイドのふたつがあり、補償金額をさらに手厚くしたり、クレジットカードの付帯保険でカバーされていない補償を付け加えることができるのが大きなメリットですね」（國分さん）

海外の治療費は高額という漠然とした印象はあっても、具体的にどの程度の金額が必要になるかご存じない方も多いかもしれません。あくまでも目安ですが、「日本損害保険協会」のホームページでは、盲腸（虫垂炎）で手術入院した総費用が記載されています。

たとえばロサンゼルスの場合は、約160～210万円（平均2日間入院）、パリの場合は約86万円（平均3日間入院）と、日本とは比較にならない金額です。

「もちろん、どんな補償がどれくらい必要かわからないという方もいると思います。そんな方にはパッケージプランをおすすめします。『保険料抑えたいプラン』『保険料と補償バランスプラン』『補償充実させたいプラン』の３つのプランをご用意しています。

旅慣れた方の場合は、すでに付帯保険でどこまでカバーされているかご理解されている方も多いので、オーダーメイドプランで渡航エリアごとに必要な分だけ追加いただくほうが効率的ですね。マイルやポイントなどを利用する海外旅行上級者の方の場合、クレジットカードの利用付帯保険が適用できないケースもあるので、そういう方にこそおすすめできるとも言えます」（國分さん）

「海外では、日本国内に比べて治療費が高額になるのが一般的です。カード会員様からのお問い合わせでも、『現地で事故に遭ったとき、病気になったときの対応が心配』『円安の現在、現地での医療費がいくらかかるのか不安』という声が非常に多くなっています。どれくらいの補償をつけておけば安心なのかは人それぞれですが、足りない補償だけをプラスできるオーダーメイドプランは、個人的にも便利だと思いますね。実は8月末からのネパールへ海外旅行に行くため、私も『off！（オフ）』に入りました。インターネットで予約できて、すぐに補償規定や現地での連絡先もメールで届きます。旅行出発日当日でも申し込みができるのは、とても便利です」（小澤さん）

新・海外旅行保険【off！（オフ）】についての詳細はこちらからご確認ください。

海外の旅行先で病気や事故、盗難など思わぬトラブルに遭遇すると、せっかくの旅行が苦い思い出になってしまうことも……。日本とは言葉や文化、治安なども異なる土地で安心して旅行を楽しむために、海外旅行保険についてもしっかり準備しておきましょう。