日本酒度とは?日本酒の辛口/甘口の違いをわかりやすく解説
日本酒度とは?日本酒の辛口/甘口の違いをわかりやすく解説
2023/02/02
2022/12/23
「日本酒度」を知ると、お酒選びが楽しくなる
「日本酒度」を知ると、お酒選びが楽しくなる
日本酒の「甘口」「辛口」という表現はよく耳にしますが、どんな基準で判断されているのでしょうか。日本酒の甘口/辛口を判断する目安には「日本酒度」というものがあり、日本酒度が分かるとより深く日本酒を楽しむことができます。
今回、日本酒のすべてを極めた日本名門酒会顧問の森晃一郎さんに、日本酒度について解説していただき、日本酒初心者にもおすすめの銘柄を教えていただきました。
日本名門酒会 顧問:森晃一郎さん
日本名門酒会 顧問:森晃一郎さん
「良い酒を 佳い人に」をスローガンに、全国約120社の蔵元が造った日本酒を、全国1,500店あまりの酒飯店に流通。名門酒を楽しむ会(試飲会)」なども開催している。
日本名門酒会
顧問
森晃一郎さん
日本名門酒会
顧問
森晃一郎さん
「良い酒を 佳い人に」をスローガンに、全国約120社の蔵元が造った日本酒を、全国1,500店あまりの酒飯店に流通。名門酒を楽しむ会(試飲会)」なども開催している。
日本酒の「甘口」「辛口」って、どんな味?
日本酒の「甘口」「辛口」って、どんな味?
そもそも日本酒の「甘口」や「辛口」とは、どのようなものなのでしょうか。
「日本酒の甘口/辛口の説明に入る前に、みなさんに覚えておいていただきたいことは、『ヒトの味覚には、かなりの個人差がある』ということです。ある人は甘味には敏感、ある人は酸味には鈍感であったりと、味覚の感じ方はさまざまですし、その味覚を好ましく感じるかどうかは、個人の嗜好の違いでしょう」
とのこと。そのうえで森さんは、「どの程度の甘辛を好ましく感じるかという嗜好性については、生まれ育った環境やその人の経験知、あるいは年齢などによる後天的な要素も大きく作用する」と指摘します。
「たとえば、私は佐賀県出身で一般的に甘口といわれる食文化で育ったため、嗜好も甘口寄りでした。ですが、東京で暮らす時間が長くなると塩辛い味のほうが好きになりました。現在は年齢を重ねたのもあるのか、また甘口寄りの嗜好に戻っています。このように、嗜好の違いというのは、味覚の感受性の個人差に加え、地域の食文化や時期などでも変化するのです」
それでは、個人差が大きいといわれている味覚の基準に対して、日本酒ではどのような目安で甘口/辛口を判断しているのでしょうか。
「日本酒の甘口/辛口は、お酒の製造や流通を所管する国税庁が、全国から買い集めた日本酒を分析して、『日本酒度』と『酸度』をある計算式に入れて『甘辛度』と『濃淡度』を算出し、全国の都道府県ごとに分布図付きでウェブサイト上で公開しています。この『甘辛度』と『濃淡度』が、日本酒の甘口/辛口を判断するひとつの目安として、広く用いられています。また、最近の日本酒は、全体的に上質な甘さになっていますので、入門編の日本酒としては甘口がおすすめです」
「日本酒度」とは何か?
「日本酒度」とは何か?
では、日本酒の甘口/辛口の目安となる、「日本酒度」についてもう少し詳しく教えていただきます。
「日本酒度とは、日本酒に含まれる糖分の量や割合を示したものではなく、真水と比較した日本酒の重さ(比重)を表した数値です。具体的には、水よりも比重が大きい(重い)ものを(-)で、小さい(軽い)ものを(+)で表します。日本酒の比重はエキス分で決まりますが、そのエキス分のほとんどを糖分が占めているため、比重が大きいほど甘口となり、(-)の数値が大きくなります。逆に比重が小さいほど辛口となり、(+)の数値が大きくなります。このため日本酒度が(-)のお酒は甘口、(+)のお酒は辛口といわれるのです」
それでは日本酒度「±0」のお酒は、甘口と辛口のちょうど真ん中なのでしょうか?
「実はそうではありません。甘口と辛口の基準は時代と共に大きく変化していますので、その時代での平均的な日本酒度が中味ということになります。たとえば、明治から大正の初め頃までの日本酒度の平均は+6.0~+11程度でした。その後、昭和初期頃は甘口になりましたが、太平洋戦争の頃から辛口となる傾向が強まります。しかし戦後の高度経済成長期には甘口が好まれるようになり、昭和40~50年頃までの平均的な日本酒度は-4.0~-5.0となりました。昭和50年以降、地酒ブームを背景にした淡麗辛口が人気となり、再び日本酒度の平均は辛口に転じます
但し、商品のラベルに記載してある甘口や辛口といった言葉は、必ずしも全国の甘辛度の平均値を基準にしたものではなく、製造した蔵元の製品の中での甘口/辛口という位置づけになっていることが多いという点は覚えておく必要があるでしょう」
そのうえで森さんは、「最近では、日本酒度の平均値は+3.0~+4.0程度で安定していますが、実際に飲んでみると、かなり甘く感じるようになっている」と話します。これは技術的な進歩により、日本酒全体がより上質な甘さを感じさせる吟醸酒を意識した酒造りに向かい始めたことが理由だということです。
日本酒度と合わせて知っておきたい「酸度」と「糖分」
日本酒度と合わせて知っておきたい「酸度」と「糖分」
日本酒の甘口/辛口に、酸度はどう関係するのでしょうか?
「日本酒の甘口/辛口は、日本酒度だけでは判断できません。その理由は、日本酒に含まれる酸味成分(乳酸やリンゴ酸など)、つまり『酸』の量や割合によって、甘さの感じ方が変わってくるからです。日本酒度が同じでも、酸度が高いほど甘さが打ち消されて辛く濃く感じます。逆に酸度が低いと甘さが打ち消されず、甘く淡く感じます。酸度の全国平均は1.3程度で、日本酒度が同じ場合でも酸度に0.2以上の差があると、味わいの甘辛濃淡に違いが感じられます。さらに、日本酒に含まれている『糖分』の種類や割合の違いによっても、甘口と辛口では感じ方が変わってきます」
ひと言で日本酒の甘口/辛口といっても、とても奥深いことがわかりました。ただ、自分好みの日本酒が甘口/辛口どちらなのかを確認するには、両方飲んでみないと判断するのが難しいところです。
そこで、数々の良質な日本酒に精通した日本酒マイスターでもある森さんに、甘口/辛口それぞれおすすめの銘柄を教えてもらいました。
日本酒マイスターが推す!甘口の日本酒ベスト3
日本酒マイスターが推す!甘口の日本酒ベスト3
(左から)大山 特別純米酒 十水、名倉山 純米酒 月弓、春鹿 さくら純米
■大山 特別純米酒 十水(山形県鶴岡市/日本酒度:-5.0、酸:1.6)
~濃密な甘やかさ~
江戸時代後期に灘(現在の神戸市から西宮市にかけた辺り)で確立された酒造りの基本形である「十水仕込み(とみずじこみ/米と水の体積を同等量にして仕込む濃厚な製法)」を、現在の技術と融合させて造り上げた純米酒。ほのかな果実香があり、甘やかで透明感のある口当たり。冷やしてもお燗でも美味しい逸品です。
■名倉山 純米酒 月弓(福島県会津若松市/日本酒度:-1.0、酸:1.2)
~上品な甘やかさ~
蔵元が「きれいな甘さ」にこだわって造っているので、濁りの無いクリアな甘さです。純米酒ですが、ワンランク上の純米吟醸酒といっても良いほどのクオリティーです。常温か、少し冷やして味わってください。
■春鹿 さくら純米(奈良県奈良市/日本酒度:-9.0、酸:1.5)
~飲み応えのある甘やかさ~
8世紀から御神酒造りに携わってきた蔵元が醸すこのお酒は、香りは穏やかですが濃厚な甘みと旨味が特長。余韻も長いのでお燗向きで、角煮や鍋料理との相性も抜群です。
日本酒マイスターが推す!辛口の日本酒ベスト3
日本酒マイスターが推す!辛口の日本酒ベスト3
(左から)司牡丹 純米 船中八策、白瀧 淡麗辛口 魚沼純米、一ノ蔵 特別純米 超辛口
■司牡丹 純米 船中八策(高知県佐川町/日本酒度:+8.0、酸:1.4)
~木綿の風合いの男性的な辛口~
土佐の辛口といわれる、伝統の酒造りを守り続ける蔵元が「司牡丹」。食事の席でも料理以上に出しゃばらず、料理の味を下支えすることが特徴のお酒。なかでも「カツオの塩たたき」との相性は抜群です。
■白瀧 淡麗辛口 魚沼純米(新潟県湯沢町/日本酒度:+9.0、酸:1.3)
~絹の風合いの女性的な辛口~
「上善水如」で有名な蔵元が、新潟らしい淡麗辛口を追求したのがこのお酒。穏やかな香り、すっきりとした味わいで、絹の風合いのような上品な逸品です。魚の塩焼きや焼き鳥とのペアリングが、蔵元からのおすすめです。
■一ノ蔵 特別純米 超辛口(宮城県大崎市/日本酒度:+9.0、酸:1.4)
~サラリとしたすっきりタイプの辛口~
昭和時代の地酒ブームにのり、東北屈指の蔵元となった「一ノ蔵」。その蔵元が、可能な限り雑味が出ないよう造った超辛口純米酒。穏やかな香りで酸味も少なく、すっきりとしたなかに米のうまみがほのかに感じられます。
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