カレーの隠し味におすすめの食材をカレー大學学長に聞いてみた
カレーの隠し味におすすめの食材をカレー大學学長に聞いてみた
2023/02/02
2022/12/23
おうちカレーがランクアップする隠し味を知りたい!
おうちカレーがランクアップする隠し味を知りたい!
大人も子どもも大好きで、家庭料理の代表でもあるカレーライス。
市販のカレールーを使えば誰でも簡単に作れますが、同じルーを使っても家庭ごとに味が違ったり、風味に差が出ることがあります。また、具材の切り方や炒める時間など、それぞれのプロセスにこだわりを持っている人も多く、カレーは単純なようで奥深い料理。近年は「隠し味」を加えて、自分好みのカレーを作る人も増えているとか。
そこで今回は、自分なりのカレーの味を追求できる隠し味に注目。カレーの知識に精通し、長年の研究と経験から隠し味についても知り尽くした、カレー大學の学長/カレー総合研究所代表でもある井上岳久さんにお話を伺いました。
カレー大學学長/カレー総合研究所代表
井上岳久さん
カレー大學学長/カレー総合研究所代表
井上岳久さん
カレー業界を牽引する業界第一人者。横濱カレーミュージアム・プロデューサーを務めたほか、カレーにまつわる文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなどにも精通し、レトルトカレーやカレーパンの商品開発も多数手掛ける。
カレー大學学長/カレー総合研究所代表
井上岳久さん
カレー大學学長/カレー総合研究所代表
井上岳久さん
カレー業界を牽引する業界第一人者。横濱カレーミュージアム・プロデューサーを務めたほか、カレーにまつわる文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなどにも精通し、レトルトカレーやカレーパンの商品開発も多数手掛ける。
カレーに隠し味を入れる意味と効果
カレーに隠し味を入れる意味と効果
私たちが普段カレー作りに使っているカレールーの発祥は日本。カレーが生まれたインドでは、さまざまなスパイスを調合してカレーを仕上げますが、これを日本の家庭で再現するのは手間も時間もかかります。そこで開発されたのがカレールーです。
「市販のカレールーには、カレー作りに欠かせない小麦粉とバターとカレー粉、ブイヨンなどが入っていて、日本人の多くが『美味しい』と感じられる味に調えられています。カレールーを使うと簡単に美味しいカレーを作れます。でも、そこにひと手間加えて自分好みの味、今食べたい味のカレーにしたいですよね。そんなときに効果を発揮するのが、隠し味です」
と井上さんは切り出します。では、そもそも隠し味とはどんな存在なのでしょうか。
「私はカレーを嗜好品だと考えています。例えば、嗜好品であるコーヒーも、それぞれ好きな味は違いますよね。それと同じように、カレーも、全員が絶対に好きな味はないと思うんです。好みだけでなく、その日の気分だったり、昼食に辛い物を食べたから夕食のカレーは甘めがいいなとか、隠し味という簡単なひと手間を加えることで、今食べたい味に調整することができます」
隠し味を入れることで、味を自在に変化させることができるのもカレーの面白さであり、魅力です。
実はコツあり!カレー作りと隠し味のポイント
実はコツあり!カレー作りと隠し味のポイント
さまざまな隠し味を試す前に、まず必要なのはベースとなるカレーです。カレーの作り方のポイントや、隠し味を入れるタイミング、分量などを確認しておきましょう。
・カレーを作る際のポイントは温度
基本となるカレーを作るにあたり、何か気を付けておくべきポイントはあるのでしょうか。
「市販のカレールーを使う場合は、パッケージの裏側に書いてある通りに作ればOKです」と言う井上さんですが、何気なく作り方のポイントを補足してくれました。
「パッケージ裏面の基本的なカレーの作り方にも書いてありますが、ルーを入れる際は鍋の火を必ず止めてください。火にかけたままルーを入れると温度が高すぎて溶けません。鍋の中が80度まで下がるとよく溶けるといわれています。室温にもよりますが、火を止めてから約5分後が、80度前後の目安となります」
この温度を下げる時間が大切とのことです。
「食べたときにザラザラした舌触りがしてしまうのはルーが溶けきっていない証拠なので、そうなりがちな人はぜひ試してみてください」
・隠し味はカレーがほぼ完成したタイミングで小さじ1ずつ
隠し味はカレーがほぼ完成している状態で小さじ1杯程度と、少量ずつ入れるのも鉄則です。
「あくまでも隠し味ですから、加えた素材の味が表に出てしまっては本末転倒です。例えば、甘くしたいときにバナナ1本分をすりつぶして全部入れてしまうと、バナナの風味がするバナナカレーになってしまう。口に入れたときに、隠し味そのものを感じない程度を目指しましょう」
隠し味は少しずつ入れて全体をかきまぜ、味をチェックしながら、丁寧に加えていくことが重要です。
「隠し味を小さじ1杯、2杯入れても変化を感じなかったのに、3杯目で急に味が変化することがよくあるんです。その都度きちんと味見をして、入れる量を見極めることが大切です」
基本となるカレーの作り方のポイント、隠し味を入れるタイミングや分量がわかりました。では、いよいよ作りたい味の方向性別に、井上さんにおすすめの隠し味を教えてもらいましょう。
効果別隠し味(1):甘味を出す
効果別隠し味(1):甘味を出す
(画像左上から時計回りに)リンゴジュース、バナナ、ジャム、はちみつ、砂糖
辛味をマイルドにしたいときや、辛いものが苦手な人、子ども向けのカレーを作りたいときなど、甘味を出したいときの隠し味。全体がまろやかで優しい味わいになるカレーを作るには、以下のような食材や調味料をいれます。
●りんごジュース
●バナナ
●ジャム
●はちみつ
●砂糖
「同じ甘味でも、素材によって甘味の出方が違うので、自分の好みや目指す味を把握して、色々試しながら甘味の違いを知っておくことも大切。りんごの場合、生のままよりネクターのような濃厚なりんごジュースのほうが甘味を感じやすく、少量で味が変化してきます。フルーツを入れるならバナナがおすすめですが、爽やかな甘みが引き立つマンゴーも良いですねどちらもすり下ろしてから入れてください。」
効果別隠し味(2):辛味を加える
効果別隠し味(2):辛味を加える
(画像左から時計回りに)ブラックペッパー、唐辛子、コチュジャン、カレー粉
子ども用に作ったカレーを大人用に辛くアレンジしたり、思ったよりルーの辛味が足りなかったときは、身近にある辛味調味料で調整できます。基本調味料として常備されていることも多いと思うので、隠し味としても取り入れやすいものばかりです。
●ブラックペッパー
●唐辛子
●豆板醤
●カレー粉
「唐辛子は辛味がダイレクトに伝わり後を引きますが、ブラックペッパーの辛味はじんわりと口の中に広がります。これらの粉状のものは入れすぎると溶けきらず、舌触りが悪くなるので量には注意が必要です。ソラマメを発酵させて作った豆板醬は辛味と同時にコクも出ます。ペースト状のものは溶けやすいので、初心者でも使いやすいですね。香辛料のスパイシーさを際立たせるなら、ブイヨンなどが入っているカレールーではなく、純粋なカレー粉を追加しましょう。辛味が強いものを選んでください」
効果別隠し味(3):酸味を出す
効果別隠し味(3):酸味を出す
(画像左から)トマト、酢、ウスターソース、レモン、ヨーグルト
いつものカレーに酸味のある隠し味を加えることで、さっぱりとした味わいに仕上げてくれます。
●トマト
●酢
●ウスターソース
●レモン
●ヨーグルト
「トマトは味が馴染みやすいので、酸味が強いものを選びましょう。トマト缶を使用する場合は、日本のものと比べて酸味が強いといわれているイタリア産がおすすめです。ウスターソースは程よい酸味とともに、原料である酢やフルーツ、スパイスなどのさまざまな風味が加わり、味の奥深さも増します。酸味を出すならヨーグルトも鉄板ですが、どうしても色が白っぽくなってしまうので、入れすぎないほうがきれいだと思います」
効果別隠し味(4):味わいのグレードを上げる
効果別隠し味(4):味わいのグレードを上げる
(画像左から)オイスターソース、赤ワイン、味噌、甘酒、ココア、だし汁
なにかひと味足りないなと感じたときは、旨味やコクが出る調味料を足してみましょう。カレーの味に奥深さが感じられるようになり、おうちカレーのランクが格段にアップします。隠し味を組み合わせて入れると味の複雑性が増して、上質な味わいに仕上がります。
●オイスターソース
●赤ワイン
●味噌
●甘酒
●ココア
●だし汁
「牡蠣由来のオイスターソースは旨味や甘味、コクといった料理を美味しくする要素がすべて入っています。一晩寝かせるとより味わいが増すので、試してみてください。味噌や甘酒などの発酵食品はコクが格段にアップ。甘酒はプロの料理人も隠し味として使っていることもあるようです。ココアはカレー本来の旨味をぐっと際立たせてくれる効果があります。主に海の幸を原料とするだし汁は、じわっとした旨味とともに奥深い味わいに」
そのほかにも、ブイヨンやバター、生クリーム、ゴマペースト、ニンニク、日本酒など、コク増し食材はたくさんあります。ただし、ニンニクは香りが強く好みがわかれるので、注意が必要です。
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